SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(165L)
RE:484
映像保存センター。
遂にロボット機動隊がメカニカニに向けてバズーカ砲を発砲する!その凄まじい音と衝撃に、思わず耳を押さえてうずくまるオオツカ警部達。

しかし砲弾はどうした事か、メカニカニを大きく外れて隣りの高層ビルの屋上に命中、屋上の貯水タンクを直撃し、センター周辺は土砂降りの様になる。

オオツカ
「どうした!?どこを狙ってる!!」

ロボット機動隊に怒鳴るオオツカ警部。

ロボット機動隊
「…おかしい、照準が…うっ…うわ〜っ!!」

突然身体のあちこちがショートするロボット機動隊!

オオツカ
「うわっ!…どうした!?しっかりしろ!!」

センターの周りでは機械があちこちでスパークし始める。
電話ボックスのテレビ電話器はモニターが破裂する!

オオツカ警部の脇でもパトカーのエンジンが突然起動し、通信器が火花を吹く!

オオツカ
「どうしたんだ?何が起こったんだ!?」

警官
「わ、解りません!突然制御不能にっ!!」

制御不能に陥るロボット機動隊。
その内の一体がバランスを失って、パトカーの上に倒れ込んで来る!

オオツカ
「うわ〜っ!!」

危うくパトカーを離れるオオツカ警部と警官。
パトカーは倒れてきたロボットに潰されてしまう!

辺りにフロントガラスが飛び散る!

オオツカ
「くっそ〜っ!あいつ、一体何者なんだ!?」

悔し気にメカニカニを見上げるオオツカ警部。

タナカ鉄工所。
1機のメカに急ピッチで、動力ユニットの取り付け作業が行われている。
戦闘機型の高速飛行メカ、
「ラピッド・スター」である。

ショウイチがジャッキーでユニットを持ち上げ、メカにセットする。
すかさずユキコ、ケンタ、ゲンザブロウの3人がメカに取り付き、ユニットを固定して行く。

真剣な表情でスパナを使うゲンザブロウ。
ジャッキーからショウイチが声をかける。

ショウイチ
「…しかしお父さん、大丈夫なんですか?このラピッド・スターは3機の中でも構造的に一番複雑な機体です。せめてテストをしてからでないと…」

その声に応えるゲンザブロウ。しかし手は休めない。

ゲンザブロウ
「解っておる、無理は承知の上じゃ。じゃが、全部の機体にユニットを取り付ける時間はとてもない。1機でジャンクのメカを相手にするにはコイツしかないんじゃ…」

一心に取り付け作業を行うゲンザブロウ。

と、一人の女子高生が工場に入って来る。
この春から高校生になったケンタの姉、リエである。

リエ
「…ただいま〜っ!街は大変よ。カニみたいなロボットが、映像保存センターに出たんですって…」

動力ユニットの取り付け作業に目を輝かせるリエ。

リエ
「…うわあ、ユニット届いたんだあ!!…あたし、パイロットね!!」

ケンタ
「あっ!ねえちゃんズルイぞっ!!オレがパイロットだってば!!」

リエ
「何言ってんのよ、シミュレーションじゃ、一度もあたしにかなわなかったくせに!」

ケンタ
「そんな事ないぞ、あれはねえちゃんが!」

リエ
「解った、解った!…そいじゃあ「コーパイ」やらせてあげるから!…ネッ!?」

ケンタ
「コーパイ…?」

リエ
「副操縦士の事よ。」

ケンタ
「…フクソウジュウシ?…それってパイロットの事?…やるっ!オレ、コーパイやるっ!!」

リエ
「ハイ、きまり!…いいわよね、お父さん!」

しかし、はしゃぐ子供達を前に不安気なショウイチ。

ショウイチ
「いかん、今回は私が操縦する。テストなしでいきなり発進しなきゃならないんだぞ、万一の事があったらどうするんだ!」

リエ
「だったら、なおさらあたしたちが操縦した方がいいんじゃないの?おとうさん、シミュレーションの成績、一番悪かったみたいだし…」

ケンタ
「そうだぞ父ちゃん。オレの自転車を帰せ!!」

ゲンザブロウ
「やられたの、ショウイチ?アッハッハ!」

落ち込むショウイチ。

ショウイチ
「くそ〜オレの威厳が…親としての立場が…ううう…」

ユキコ
「まあ、あの子の言う通りだわ。まかせましょ?あなた。」

ショウイチ
「…解った…ミトメル…」

ケンタ/リエ
「うわ〜いっつ!!」

ゲンザブロウ
「…よしっ、作業完了じゃ!すぐ発進じゃぞ!!」

一同
「はいっ!!」

ジャッキーがラピッド・スターの側を離れて行く。
ユキコとゲンザブロウは、事務所の片隅に作られた発進コントロール装置へ行く。

ケンタ
「ニャンコ、お前もおいで。」

ニャンコを抱き上げるケンタ。ラピッド・スターの操縦席に乗り込む。
その後ろの席には既にリエがヘルメットを被ってスタンバイしている。
席に着き、ニャンコを膝の上に載せる。

ケンタ
「お前はここにいるんだよ。」

ヘルメットを被るケンタ。しかし、サイズが合わずブカブカ。

ケンタ
「ねえちゃん…ヘルメット、デカイ…」

リエ
「我慢しなさい。…行くわよっ!!」

キャノピー・ガラスを閉める。

事務所。
ゲンザブロウとユキコ、それにショウイチも入って来る。
モニターにリエとケンタ。

ゲンザブロウ
「いいか、2人とも。無理をするな。危険だと思ったらすぐに帰還するんじゃ。」

ショウイチ
「そうだぞ、この次は私が操縦するんだからな!」

ユキコ
「あなた、意外に執念深いのね?…頑張るのよ2人共!」

ケンタ/リエ
「了解!!」

ゲンザブロウ
「よし、ラピッド・スター発進じゃ!!」

発進コントロール装置のスイッチを入れる。

工場の裏側。運河に面した壁が開く。
堤防がゆっくりと下がり、レールが運河の水面まで伸びてくる。

そのレールを伝って、ラピッド・スターが水面まで平行に移動する。
着水するラピッド・スター。

事務所。モニターを見ているユキコ。

ユキコ
「運河上障害物なし。発進できるわよ。」

ラピッド・スター操縦席。

リエ
「分かったわ。…システム・チェックOK。メイン・エンジン出力マキシマム!!」

エンジンを全力噴射するラピッド・スター!
凄まじい水柱が立つ。

そのすぐ後ろ、橋の上を通っていた通行人、この水を頭からかぶってずぶ濡れになる。

通行人
「…何だよコレ…(ラピッド・スターを見る)…バカヤロ〜ッツ!!」

しかし、そんな事とは知らず、運河を滑走路替わりに離陸するラピッド・スター!
たちまち見えなくなる。

ナレーション
「突如出現した謎の万能メカニック、メカニカニ。果してラピッド・スターはメカニカニの攻撃を阻止できるのか!?、特撮界の支配者、ドクター・ジャンクとは一体何者!?恐るべきこの事件は、まだ始まったばかりである…」  

〜 つづく 〜


~ 初出:1994.04.10 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018