SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(114L)
RE:664
ランド・チャレンジャー操縦席。
超音波センサーシステムのモニターを前にしたタナカ家の面々。

モニター上には相変わらず赤く点滅する反応があちこちに出ている。
窓の外からは相変わらず近所の犬達の鳴き声が聴こえてくる。

ユキコが窓を閉める。モニターを見つめていたショウイチが口を開く。

ショウイチ
「…お父さん、一体この反応は何でしょう?やはりテレビから発信されているんでしょうか?」

センサーシステムを調整するゲンザブロウ。
モニター上に「Recording」の表示が出る。謎の波形が記録されて行く…

ゲンザブロウ
「…恐らくそうじゃろうな。これを見てみなさい…(モニターのある点を指さす)ここは我が家の居間、丁度あのテレビがあるところじゃ。ここには先刻まで他と同じ様な反応が出ておった。しかし、テレビのスイッチを切ると反応は消えた…」

そのやり取りを後ろから覗き込んでいたリエ。ケンタを見る。

リエ
「…ケンタ、あんたホントに何にも覚えてないの?」

ケンタ、まだ本調子ではない様子。一瞬間があく。

ケンタ
「う〜ん(考え込む)…帰って来て、時計を見たらもうすぐ7時だったんだ。…で、『満点・ザ・ワールド!』を観ようと思って…」

リエ
「クイズ番組の?」

ケンタ
「うん。…そしたら、いきなり別の番組が始まって…それを観ていたら、何だか頭がぼ〜っとして…」

ショウイチ
「別の番組?」

ケンタ
「ヒーローが出てくる奴。先週までそんな番組が始まるなんて、全然言ってなかったし…」

と、その時、モニターの反応が一斉に消える。驚く一同。

ショウイチ
「お父さん、反応が!」

ゲンザブロウ
「うむ。どうやらケンタの言っておる、その番組が発信源かも知れんな。時間を見て御覧。…午後7時28分。丁度番組が終る時間と同じタイミングじゃ。」

ユキコ
「でも、そんな超音波がどうやってテレビから?」

ショウイチ
「…番組の音声に紛れ込まされているんじゃないかな?」

ユキコ
「音声に?」

ショウイチ
「うん。最近のスピーカーは原音を忠実に再現するために、人間の耳では聴こえないサイクルの音も再現できる性能があるそうだ。そこに、番組の音声に混じって超音波が送り込まれた…」

ゲンザブロウ
「…恐らくそんな方法を用いておるんじゃろう。じゃが、問題は誰が、何の目的でこんな事をしたかと言う事になるが…」

はっとした様にゲンザブロウを見るショウイチ。

ショウイチ
「まさか…」

ゲンザブロウ
「(ショウイチを見てうなずく)…ワシもそんな気がしておる。こんな事が出来るのは恐らくドクター・ジャンクじゃろうて。…(リエを見て)…リエ、その辺りに今日のスポーツ新聞があるじゃろ?ちょっと取ってくれんかの?」

操縦席の後部、通信用コンソールの上に置かれていた『スポーツ・トーキョー』を手に取るリエ、それをゲンザブロウに渡す。

リエ
「ハイ。」

それを受け取るゲンザブロウ。

ゲンザブロウ
「…おお、ありがとう。(1面の見出しに目をやる)…『No.1アイ ドル、ユウキ・ソトダは宇宙人だった…?』…相変わらずやっとるのお!…オット、こっちじゃない。」

パラパラとページをめくる。テレビ欄を出す。番組表を見る。

ゲンザブロウ
「ケンタ、ケンタが見ておったのはどこのチャンネルかな?」

ケンタ
「ミヤコ・テレビだよ。」

ゲンザブロウ
「ミヤコ・テレビ…」

番組欄を目で追うゲンザブロウ。
午後7時の欄には新番組のマークと共に、『無敵超人ドクター・ジャンク』の文字が!

その文字に思わずニヤリとするゲンザブロウ。

ゲンザブロウ
「やってくれるの、ドクター・ジャンク。(新聞をショウイチに渡す)…これは我々に対する奴の挑戦じゃ。」

新聞を手にするショウイチ。その新聞を覗き込むユキコ、リエ、ケンタ。

リエ
「あ〜っ!!何コレ?」

ケンタ
「何だあ?…ジャンクの奴、何考えてんだよ!」

ショウイチ
「(ゲンザブロウを見て)『これみよがし』ですねえ…しかし、どうします?現状では我々には手の打ち様がない。テレビの音声に紛れ込んでいては、影響は不特定多数の場所で、同時に発生する可能性があります。…一番確実なのは放送を阻止する事でしょうけれど、それでは余りにも…」

ゲンザブロウ
「そうじゃのう…とにかく今はまず、この超音波がどんな影響を与えるか、それを知ることが先決じゃろう。ワシは早速、記録した音波の解析をしてみる。対策はそれまで待つしかあるまい…」

うなずく一同。

ナレーション
「ドクター・ジャンクが放つ謎の超音波、その正体は一体何か?果してSFXボイジャーは、その謎を解く事が出来るのだろうか?」


〜 つづく 〜



~ 初出:1994.04.20 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018