SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(166L)
RE:132
ラピッド・スターコクピット。
最大出力で橋桁を支え続けるラピッド・スター!
凄まじい振動にコクピットの計器がガタガタと音を立てている。

モニタースクリーン。
リエの操縦席のメインモニター。
片隅にドライブ出力ゲージがポップアップしている。

ゲージは微妙に変動をつづけながらも、過大出力域の赤い警告表示の部分に留まりつづけている。

『CAUTION!: Driving-system is demanded excessive output.』

のアラーム・ディスプレイが点滅し、ドライブシステムの過負荷を警告している。
しかし、リエはそれには目もくれず、操縦席前方を見つめている…

空。
ラピッド・スターの正面。
青空の中、白い雲の尾を引きながら、猛スピードで突進してくるデイダロス!

その嘴〔くちばし〕を想わせる機首が、太陽の光を受け、一瞬眩しいきらめきを発する!

コクピット。
緊張した表情のリエ。右手を操縦捍から離し、コンソールパネルを操作する。
チラとグラン・マキシマイザーのチャージタイムカウンターを見る。

カウンター。
減算を続けるカウンター。頭の秒数が30を示している…

再び正面を見るリエ!
接近してくるデイダロス!

リエの右手はコンソールパネルの発射ボタンの上に置かれている。
その指が微かに、しかし小刻みに震えている…

ジェットヘリ操縦席。
突進してくるデイダロスに気付く副操縦士。

副操縦士
「(指さし)タカノさん、アレ!!」

その声に副操縦士の指さす方向を見るパイロット。

ラピッド・スターメインモニター。
メインカメラの映像にターゲットスコープが映し出されており、その照準は既に突進してくるデイダロスにロックされている。

チャージタイムカウンターの秒数が20から10に変わる…

接近を続けるデイダロス。
その肩口が突然バックリと開き、ビーム砲が姿を現わす!
機体内部の熱気が開口部から一気に排出され、白い蒸気雲となって噴き上がる!

コクピット。
デイダロスの動きに前部操縦席のケンタ、両腕を差し上げたまま、慌ててリエを振り返る!

ケンタ
「攻撃してくるぞッ!!」

モニターを見るリエ。
まだチャージタイムカウンターは減算を続けている!

リエ
「(悔しげに)クッ!…」

突進してくるデイダロス!
その肩口のビーム砲、砲身が輝き始め、ビーム発射寸前の様子!
接近するデイダロスの機体!!

その瞬間、チャージタイムカウンターが0を示す!
短い電子音と共に、カウンターの表示が今までの赤からグリーンに変わる!

リエ
「!!」

発射ボタンを思いきり押し込むリエ!

ラピッド・スターの機体から凄まじいビームが発射される!
一直線にデイダロス目がけて伸びて行くビームのきらめき!

が、命中の寸前、デイダロスが信じられない程の反応速度で、機体をロールさせる!
グラン・マキシマイザーをかわすデイダロス!!

その機体が急速な横転に空気を切り裂き、真っ白な尾を引く!
グラン・マキシマイザーの光の矢は、そのまま真っ直ぐに空を打ち抜いて飛び去って行く…

リエ
「(ハッとして)避けたッ!?」

そのまま突っ込んでくるデイダロス!
ラピッド・スターの脇を霞める様に、凄まじいスピードで横をすり抜けて行く!

リエ
「クッ!!」

猛然とパルスビームを連射するリエ!
ラピッド・スターの機体後方、小型ビームバルカンがデイダロスを追尾してビームを連射する!

しかし、その攻撃を難なくすり抜けるデイダロス!
猛スピードで遠ざかる…

その瞬間、爆発音が轟き、コクピットを凄まじい衝撃が襲う!
ソニックブーム(衝撃波)がジェットヘリとラピッド・スターに襲いかかる!
大気のうねりに翻弄されるジェットヘリ!

ジェットヘリ操縦席。
地鳴りの様な音と共に、大きく揺れる操縦席!
機体のあちこちが大きくきしみ、異様な音を立てる!

副操縦士
「うわーっ!!」

一気に高度が下がるジェットヘリ!
橋桁の重量に引っ張られる!!
再び全力噴射し、何とかこらえようとするジェットヘリ!

ジェットヘリが体勢を崩し、橋桁の重量が一気にそれを支えるラピッド・スターにのしかかる!

ズブズブとまるで淀みに沈んで行く様に、とめどなく高度が下がって行く…
足元に広がる渋谷の町並み!

ズルズルと高度が下がり続ける…

ラピッド・スターコクピット。
ドライブシステムが過負荷に悲鳴の様な音をあげる!
キャノピーガラス一杯に、橋桁の鉄骨がのしかかる!

スロットルレバーを一杯に押し続けるリエ!
アラームが鳴り続けている…

リエ
「…ドライブが…もたないッ!!」

更にのしかかる鉄骨!
鉄骨を支えているマニピュレート・アーム、関節部分がミシミシと音を立てる!
遂に耐え切れず、右腕が火花を吹き上げる!

手首の装甲が吹き飛び、部品が飛び散る!
キャノピーガラスに部品がバラバラと音を立てて降り注いでくる!
ラピッド・スターの右のアームが、鉄骨にめり込む様に砕ける!!

ケンタ
「(ハッとして)アームがッ!!」

凄まじい衝撃!!

ケンタ
「ウワーッツ!!」

巨大な橋桁がラピッド・スターの機体にのしかかって来る!!
しかし、リエは尚も出力を弱めない!

リエ
「(苦しげに)落せないッ!…絶対……絶対ッ!!」

ドライブを全力噴射するラピッド・スター!
噴射口の耐熱遮蔽材が赤熱している…
操縦捍を必死に押さえ、何とか機体を安定させようとするリエ。

ケンタ
「(リエを振り返り)…右腕はもうダメだ!全然反応しないゾ!!」

リエ
「奴はッ!?…(ケンタを見て)お願い、奴の位置をッ!!」

ケンタ
「ウン!」

右腕にしたセンサーグラブを口でくわえ、脱ぎ捨てるケンタ。
自由になった右手でコンソールパネルを操作する。
キャノピーガラスにレーダースクリーンを投影する。

ケンタ
「…アイツ…どこだ?……」

デイダロスの位置を捜す。
と、レーダースクリーンに反応が現われる。
ラピッド・スターの背後から再度突入してくるデイダロス!

ケンタ
「後ろだッ!戻ってくるゾッ!!」

ハッとした様に背後を振り向くリエ!
空の彼方から、デイダロスが突進してくる!!


〜 つづく 〜

~ 初出:1995.10.28 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1995, 2018