SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(183L)
RE:209
新橋駅前。
ロボットクレーンのパワーに苦戦するサーディー。

ロボットはクレーンアームでサーディーの機体をガッシリと押え込み、ビルの壁面に押し付ける!
壁にめり込むサーディーの機体!
きしむ様な音が周囲に響く。

建物の壁面に次々に深い亀裂が走り、あちこちで窓ガラスが飛び散る!
バラバラと崩れる壁面。

壁面から落下したコンクリートの大きな塊が、アーケードの鉄屋根を直撃する!
なだれる様に倒れるアーケード!
次々に支柱が折れ曲がり、道路に倒れ込んでゆく!

路肩に停車している乗用車が潰れ、フロントガラスが砕ける!
周囲にアーケードの鉄材が飛び散り、砂塵が舞い上がる!
どよめく群衆。

サーディーの機体。
後部のパワーユニット。パネルから煙が噴き上がっている…
遂に過負荷の為に火花を噴き上げる!

舗道。
舗道に溢れる群衆。警備の警官が必死に群衆を押し止めている。
群衆の中、必死にサーディーを応援している少年の姿。

少年の母親、少年の腕をとり、必死に引き戻そうとする。

母親
「何やってるの!…早く!…(いらつき)…いらっしゃいッ!!」

少年
「いやだ!放してよッ!ロボットポリスがピンチなんだ、応援しなきゃ!…僕が応援しなきゃ!」

母親の手を振りほどき走り出す少年!

母親
「あ、待ちなさいッ、ミツル!戻ってらっしゃいッ!!」

群衆の中、舗道を必死に走る少年。
止めようとする警官の脇をすり抜ける。
手を口に当て声を限りに叫ぶ!

少年
「ロボットポリスーッ!!」

と、更にクレーンロボットのパワーが上がる!
サーディーを押え込んだクレーンアームが更にその力を増す…

サーディー
「ウワッ!」

サーディーの両肩、関節のジョイント部分が火花を噴き上げる!
その様子に不安気な表情を浮かべる少年。サーディーを見上げる。

少年
「(不安気に)アアッ!…(気を取り直し)…ガンバレーッ!!」

サーディーのモニター映像。
粗い走査線の映像。サーディーを押え込んでいるロボット!

機体各部の回路が、過負荷の為にオーバーロードし始める!
モニターに点滅するアラーム・ディスプレイ!

またグイと押し付けるロボット。
一瞬モニターの映像が乱れる…

サーディー
「(苦し気に)…こ、このままでは…」

ビル。
壁面に次々に亀裂が入る!
屋上の看板がグラグラと揺れ始める…

サーディー
「(苦し気に)クッ…」

サーディーのメインモニター。
正面にクレーンロボットの姿を捉えている。
点滅するアラームディスプレイ。

ロボットのアームが更に力を増す!
大きく乱れるモニター映像!

と、その時突然ロボットの力が緩む。
何か強力な力で引き戻されるロボットの機体!
ハッとするサーディー。

ロボットの背後にワンディム、そしてトゥースの機体。
ロボットの両側に取り付いている。

そのアームががっしりとロボットの機体を掴んでいる。
ベンチレーションパネルから噴き上がる白煙!
最大出力でロボットの機体をサーディーから引き剥す!

ロボットのメインドライブがうなりをあげ、機体側面の巨大な排気管が黒煙を噴き上げる!必死に抵抗するロボット!
しかし、ゆっくりとロボットの機体はサーディーから引き剥される。

ゆっくりと機体を起こし、体勢を立て直すサーディー。

サーディー
「ワンディム、トゥース!」

トゥース
「大丈夫か、サーディー?」

サーディー
「トゥース…」

ワンディム
「サーディー、早く奴のパワーユニットを!」

サーディー
「は、ハイ!」

サーディーの機体。
機体頂部のセンサーシステム。
パイロットランプが点滅し、エックスレイ・スキャナが作動する。
ロボットの機体をスキャンしてゆく…

モニター映像。
ロボットのX線映像。
その映像にデータベースからの機体構造データが投影される。
全身の電子回路情報がリスト表示され、モニター上を高速で流れる…
パワーユニットの位置がディスプレイされる。

サーディーの機体。
右肩のハッチが開き、小型レーザーガンが出る。

まだ抵抗しているロボット。
ロボットを抑えているワンディム、ロボットの抵抗に機体が引きずられそうになっている。

ワンディム
「サーディー、早くパワーユニットをッ!」

モニター映像。
画面上にクロスカーソルが表示され、ロボットの機体、正面右脇のパワーユニットに照準が合う。点滅するカーソル。

その時突然、ロボットが凄まじいパワーでワンディムとトゥースを振りほどく!
吹っ飛ばされ、駅前のビルの壁面に衝突するワンディム!
壁面の大きなガラスが粉々に砕け散り、周囲に飛び散る!

ワンディム
「ウワッ!…しまった!…(サーディーを見て)…サーディー!!」

サーディー目がけて突進するロボット!!

が、その瞬間、一瞬閃光が空を走る!
ロボットの動きが止まる!

その機体を貫くレーザーの光!!
一瞬の沈黙…

ロボットの機体背面。
背面の外装が小さく吹き飛び、微かな爆煙と共に破片が飛び散る!
路面にバラバラと落下する部品!

佇立していたロボット、ガックリと大きく体勢を崩す。
そのまま道路脇のビルに倒れ込む!!

一気に崩れ落ちるビル!
壁面が、倒れる様に隣の崩れかかったビルにもたれかかる!

ビルの屋上の大きな看板が、その衝撃にバランスを崩す!
看板を支える鉄骨の支柱が折れ曲がり、建物の屋上に看板を固定している太いボルトが次々にむしり取られる様に弾け飛ぶ!

支柱が建物から外れる!
落下する看板!!

舗道の群衆の上に倒れかかる!
群衆の上に、巨大な看板の影が拡がる!

その中にサーディーを応援していたあの少年の姿!
看板に気付く!
落下して来る看板!

少年
「ウワーッ!!」

少年目がけて落下してくる巨大な看板!!
空がその影に被い尽くされる…


舗道…


頭を抑え、かがみ込んでいる少年…
しかし看板が落下してくる気配がない。

恐る恐る起き上がり、視線を上に向ける。
一瞬驚いた様な表情。

やがて少年の表情に光が射す…
目を輝かせ、何かを見上げている少年…

その視線の先に、サーディーの機体。
まるで少年を庇う様に、サーディーが看板を受け止めている…

サーディーの姿に目を輝かせる少年。

サーディー
「(少年を見下ろし)…もう大丈夫ですよ。」

見上げる少年。
サーディーの機体が逆光に照り映える…

少年
「(サーディーを見上げながら)…ロボットポリス…」


〜 つづく 〜

~ 初出:1996.03.17 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1996, 2009