SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(108L)
RE:789
日比谷公園地下駐車場。
駐車場の一番端に停まっていた大型のトレーラー・トラック。
その荷台のキャンバスがゴソゴソと動き出す。

キャンバスを留めていた太いロープが次々に切れ、キャンバスに包まれた物体がトラックの荷台の上に起き上がる!!

大噴水。
それまで勢い良く噴き上がっていた水が突然止まる…

一瞬の沈黙の後、噴水の池のあちこちから水が噴き上がり、凄まじい水柱が立つ!
それと共に、周囲の地面がひび割れ、隆起し始める。辺りに噴水の水が溢れる!

やがて、その隆起の中から、瓦礫を飛び散らせながら、高さ10m程のロボットの脚部が姿を現す!

そのまま脚だけで前進するロボット。
歩く度にその足音が周囲のビル街に木霊する…

公園の入口に停まったジャンクのバン。その車内。
ジャンクとタバタがモニターでその様子を眺めている。

タバタ
「旦那様、脚部ユニット、起動致しました。」

ジャンク
「よし、続けて胸部ユニットも起動しろ!!」

タバタ
「かしこまりました…」

コンソールのキーボードを操作するタバタ、胸部ユニットの起動コマンドを投入する。

公園から少し離れたビル街の道路。
路肩に駐車しているのは、地下駐車場にあったのと同型の大型トレーラー・トラックである。

突然、その荷台のキャンバスを突き破り、大きなエンジンの様な物が出る!凄まじい轟音をとどろかせ、炎を吹き上げるエンジン!その荷台の物体は、トレーラー・トラックをゆっくりと持ち上げ始める。

トラックのタイヤが地上を離れ、トラックは空中に浮び上がる。と、物体を固定していた荷台の太いロープが、トラックの重さで次々に切れる!

遂に地上に落下するトラック。大音響と共に地面に激突し、横転する!キャンバスが外れ、空中に姿を現したのは、大型の飛行用エンジンを持つロボットの胴体である。

ゆっくりと公園に向って移動を始める胴体。

公園。
地中から出現したロボットの脚部は、公園の広い芝生の上に佇立している。

と、公園の高い樹々越しに、轟音をとどろかせながら、ロボットの胴体がゆっくりと飛行して来る。大きな音を立てて、芝生の上に立つ脚部に合体する!

古代の土偶を想わせる、ずんぐりとした巨大なロボットが姿を現す。

ジャンクのバン。その車内。

タバタ
「胸部ユニットの接合を完了致しました…」

ジャンク
「(うなずく)…さて、いよいよ搭乗と行くか…(タバタを見る)…頭部ユニットへの変形開始!」

タバタ
「かしこまりました…」

コンソールのキーボードを操作するタバタ。

ジャンクのバン、その外装が次々に剥がれ落ちる。
その内部から小型の飛行カプセルが現われる。

飛び上がり、芝生の上に立つ頭のないロボットの首の部分に降りる。
そのまま、ロボットの胴体の中に沈んで行くカプセル。

と、そのカプセルを保護する様に胴体の中から頭部が現われる。
巨大な双眼を持つ頭部。

カプセルの内部。
操縦席のジャンクとタバタの周囲を取り巻く様に、しつらえられている操縦装置に次々に光がともって行く。

操縦席の正面のスクリーンに外部カメラの映像が映る。

タバタ
「操縦系の接続、完了致しました…」

ジャンク
「よし、合体ロボ、ドグー、発進!」

足元のペダルを思いきり踏み込み、両手のスロットルレバーを手前に引くジャンク。
芝生の上に立つ土偶型ロボット。
その巨大な双眼に光がともる。

頭部が360度回転。一瞬の沈黙。
と、背中の飛行用エンジンユニットが轟音と共に炎を吹き上げる。
それと同時に脚部のカバーが開き、姿勢制御用の小型エンジンユニットが出る。

地上数メートルまでゆっくりとその巨体が持ち上がり、そのままホバリングしながら前進を開始するドグー。

古風な時計台を持つ市政会館。

と、その背後から轟音が聴こえて来る。時計台の明りが瞬き、消える。
ガラガラと崩れ落ちる市政会館!と、その影からドグーが姿を現す。

ホバリングを続けるドグーは、日比谷通りにその姿を現す。大混乱になる道路!
道路上のドグーは再び頭部を360度旋回させる。

おもむろに前進を始めるドグー…

警視庁、科学捜査1課。オオツカ警部のデスク。
一人、書類に目を通しているオオツカ警部。

デスクの上の小型テレ・コミュニケーション・システムが鳴る。
応答ボタンを押すオオツカ。

オオツカ
「…私だ。」

モニターに映る警官。

警官
「警部!日比谷公園付近に巨大なロボットが出現、現在日比谷通りを御成門方面に向って進行中です!!」

オオツカ
「何ッ!?……確かなのか?それは!?」

警官
「確かです。これを御覧下さい…」

モニターに現場の映像が映る。
日比谷通りをゆっくりとホバリングしながら、前進して来るドグー。

凄まじい轟音に、周囲のビルの窓ガラスが震える。
その光景を呆然と見つめるオオツカ。

オオツカ
「…何だ…これは……(我に帰る)…ロボット機動隊に出動要請!…私もすぐ現場に向う!!」

警官
「分かりました!!」

モニターを切るオオツカ。

オオツカ
「映像保存センターに出た奴の仲間なのか?…くそお!!」

上着を手に部屋を飛び出して行くオオツカ警部!


〜 つづく 〜



~ 初出:1994.04.27 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018