SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(167L)
RE:852
日比谷通り。
轟音を響かせながらドクター・ジャンクの合体巨大ロボ、ドグーが地面すれすれをホバリングしながらゆっくりと前進する。

乗り捨てられた自動車を蹴散らしながら進むドグー。
ビルの窓ガラスにその姿が反射している…

トーキョー・タワーそばのグラウンド。
着陸しているラピッド・スターとタナカ鉄工所のトラック。

ラピッド・スターコクピット。
センサー・システムが何か反応を捉える。警報音が鳴る。

コクピットのリエ、モニターを見る。

リエ
「高熱源体?…何かしら?…」

トラックの幌を元に戻しているゲンザブロウとショウイチ。
ラピッド・スターの上からリエがショウイチに声をかける。

リエ
「お父さん、センサーが高熱源体反応を捉えてるわ!」

その声に振り向き、コクピットのリエを見上げるショウイチ。

ショウイチ
「高熱源体反応だって?…まさか…」

リエ
「こっちに向って来るみたい!…あたし、ちょっと見てくる!」

言うが早いか、キャノピーガラスを閉め、ラピッド・スターを発進させるリエ。
垂直上昇を始めるラピッド・スター。舞い上がる土煙。

ショウイチ
「…コラ、ちょっと待ちなさい!」

しかし、ショウイチがそれを言い終わらないうちに、ラピッド・スターは発進してしまう。
それを見送るショウイチ。

ショウイチ
「…まったく…困った子だ…」

何か不安気な表情を見せるショウイチ。
そのショウイチに、トラックの荷台からゲンザブロウが声をかける。

ゲンザブロウ
「この街中に、そんな高熱を発するものがある訳なかろう…」

ショウイチ
「(ゲンザブロウを見る)…やはり、お父さんも同じ事を…」

ゲンザブロウ
「(うなずく)…ジャンクのメカニックじゃな。間違いなく。」

その声にうなずくショウイチ、トラックの運転席に乗り込む。
コミュニケーターのスイッチを入れる。

ショウイチ
「ユキコ、ユキコ!」

ディスプレイにユキコが映る。

ユキコ
「ああ、あなた。どうしたの一体?取り付けはうまくいったんでしょ?」

ショウイチ
「応援が要るんだ、すぐアース・ムーバーでこちらに向ってくれ!」

ユキコ
「…(緊張した表情でうなずく)…分かったわ!」

コミュニケーターを切るショウイチ。顔をあげ、つぶやく。

ショウイチ
「…無理するなよ、リエ…」

芝公園上空。
公園の樹々すれすれに高度をとりながら、ゆっくりとラピッド・スターがやって来る。

コクピット。
前方を見るリエとケンタ。

ビルの屋上越しに、ずんぐりとしたジャンクのロボットが進んで来るのが見える。
轟音が徐々に聴こえて来る。

計器を見るリエ。

リエ
「やっぱり高熱の元はあのロボットだわ。」

ケンタ
「すっげえ〜!(後部座席のリエを振り向く)…アレってやっぱりジャンクのロボットなの?」

リエ
「間違いないわ。(コミュニケーターのスイッチを入れる)…お父さん!」

モニターに映るショウイチ。

ショウイチ
「どうした?反応の元は何だ?」

リエ
「やっぱりジャンクのロボットよ。大きな土偶みたいな形をしてるわ。」

ショウイチ
「そうか、やはり…今、お母さんに応援を頼んだ。お前達はアース・ムーバーが到着するまで待機するんだ。いいな。」

リエ
「分かったわ。」

コミュニケーターのスイッチを切るリエ。
と、上空で新たなエンジン音がする。ケンタが音のする方向を指さし、叫ぶ。

ケンタ
「姉ちゃん、ロボット機動隊だ!」

音のする方向を見るリエ。
上空に飛来する大型のV-TOLジェット。

ロボット機動隊のトランスポーターである。

リエ
「今見つかると面倒だわ、ちょっと隠れるわよ。」

ケンタ
「うん。」

垂直降下し、公園の樹々の間に隠れるラピッド・スター。

その頭上を低空で通過するV-TOL。
キャノピーガラス越しに、V-TOLの腹が見える。

御成門交差点。
日比谷通りの上空に到着するV-TOL。
その胴体後部が大きく開き、機体から次々に何か大きな物体が射出される。

物体は上空でジェットの炎を噴き上げ、やがて、ゆっくりと道路の上に着地する。
交差点の真中に着地する4つの機体。ロボット機動隊のロボット達である。

と、その足元に一台のパトカーがやって来る。
ガルウイング・ドアを跳ね上げ、オオツカ警部が降りる。
歩道から警官が駆け出し、パトカーに駆け寄る。
車から降りたオオツカ警部に敬礼する。

オオツカ
「(ロボット機動隊を見上げ)…2機は裏を回って奴の後ろに出ろ、この通りで挟み打ちにするんだ!(脇の警官を見て)…周辺の避難状況は?」

警官
「ハッ、幸い今日は日曜ですからこの辺りの人口はかなり少なく、既に避難は完了しています。」

オオツカ
「よし!…(顔を上げる)…ん?何だ、どうした?」

一機のロボット、一同のリーダーらしいロボットがオオツカに近付く。

リーダー機
「警部、申し訳ありませんが、我々への指示はご遠慮願います。我々には超AIが搭載されており、独自の判断で行動が可能です。それに我々は貴方の指揮下に入る指令は受けていません。」

オオツカ
「何だと、私の指示に従えんというのか!!」

にらみ合うオオツカとロボット機動隊。と、脇の警官がオオツカにささやく。

警官
「警部、彼等は警視総監直属の特別部隊です。指揮系統も警視総監直轄ではないかと…」

オオツカ
「だから何だっ!!現場指揮は私が執ってるんだぞ、コイツ等に勝手に動き回られて見ろ、混乱するだけじゃないか!!」

警官
「しかし…」

リーダー機
「警部、議論の時間が惜しい。我々は我々の判断で行動します。…(他のロボット達を見る)…よし、全機正面から突入、ターゲットの機動能力を奪う!…行くぞっ!!」

ロボット達
「了解!!」

一斉に前進を始めるロボット機動隊。
その足元、拳を握り締めてその様子を見守るオオツカ警部。

オオツカ
「バカな…正面からぶつかるつもりなのか、奴等…」

ドグー操縦席。
スクリーンに前進してくるロボット機動隊の姿が映る。

ジャンク
「出て来おったなロボット共…お前等如きに、このドグーが倒せるとでも思っているのか!これでも食らえっ!!」

ドグーの頭部が360度旋回、口の部分が開き、ビーム砲が出る。
頭を旋回させながら、強烈なビームを発射する!

突っ込んでくる4機のロボット。

その右端の1機にビームが命中!爆発する!!そのままナメる様に頭部を旋回させ、脇のビルにもそのままビームを浴びせかける!

ビルの窓ガラスが飛び散り、壁面のコンクリートが砕け飛ぶ!!
ビームを受けた機体が四散する!!辺りに部品が飛び散る!!
その威力に驚愕するロボット機動隊。

リーダー機
「…(爆発した機体を見て)フォーダム!!…何と言う破壊力だ…散開しろっ!!…各機、対戦車バズーカの使用を許可する!一斉砲撃で奴を破壊するぞ!!」

散開し、周囲のビル影に隠れるロボット達。
背中の対戦車大型バズーカがせり上がり、前方のドグーに向ってセットされる。
大きな音と共に砲弾が装填される。

凄まじい音と、衝撃が辺りを包む!ドグーに向って一斉に砲撃を加えるロボット機動隊!!
ドグーの機体が閃光に包まれて行く…


〜 つづく 〜



~ 初出:1994.04.30 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018