SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(137L)
RE:537
B.O.C.から離れ、ゆっくりと垂直上昇するラピッド・スター。

そのコクピット。
黙り込んだケンタに後部操縦席のリエ、心配そうに声をかける。

リエ
「…ケンタ……あれで良かったの?エリカさん、寂しそうだったわ…」

そのリエの問いかけに、ケンタはうつむきながら応える…

ケンタ
「…いいんだよ…あれで……」

リエ
「ケンタ…」

しばらくうつむくケンタ。

だが、きっぱりと顔をあげる。

ケンタ
「……(元気に)姉ちゃん、急ごう!」

リエ
「ケンタ…(微笑む)…分かったわ、もう何も言わない。(明るく)…行くわよっ!!」

ケンタ
「うん!!」

前を向くケンタ。

ケンタ(心の声)
「…そうさ…いいんだ、あれで…」

機首を反転させ、ランド・チャレンジャーに合流すべく、メインエンジンに点火するラピッド・スター。

メインストリート。
倒れた恐竜がその強大な力で、ワンディム達の超硬ワイヤーを振りほどこうともがいている。

それを必死の力を振りしぼり、つなぎ止めようとするワンディム達。

ワンディム
「…クゥ…、こいつ、疲れると言う事を知らないのか!?」

サーディー
「(ワンディムを見て)…ワンディム、我々のエネルギーの方がどうやら先に尽きてしまいそうです…」

ワンディム
「くそお…」

ランド・チャレンジャー操縦席。
ワンディム達の苦戦を見守っているゲンザブロウとショウイチ。

ゲンザブロウ
「…ロボット達の動きが鈍くなって来た…どうやらエネルギーが尽きて来た様じゃ…(ショウイチを見て)…ここは共同作戦と行くかの?」

ショウイチ
「分かりました。」

苦戦するワンディム達を見守っているオオツカ警部。
打つ手のない悔しさに、思わず拳を握りしめている…

と、突然腕のコミュニケーターが鳴る。

オオツカ
「ハイ、こちらオオツカ。」


「…こちらはSFXボイジャー、ランド・チャレンジャーです。…あなたがこの現場の現場指揮官ですね?」

オオツカ
「(驚いて)…そうだ、私が現場指揮責任者だが…君は一体?…」


「…今は説明している時間がありません。我々はこれからあの恐竜に、高電圧ネットを投下します。こちらから合図をしたら、ロボット達にワイヤーを切り放す様、指令を出して下さい。」

オオツカ
「しかし…」


「…ご判断が付きかねる事は良く承知しています。ですが、このままではロボット達のエネルギーが尽きるのも時間の問題です。そうなればどういう事態になるか…一番お分かりなのは貴方だと思いますが?…どうしますか?」

ワンディム達を見るオオツカ。
必死に恐竜を引き留めるワンディム達だったが、明かにエネルギーを消耗している様で、動きに生彩がない。それを見て考えるオオツカ。

オオツカ
「…(考える)…分かった、協力する。」


「…感謝します。」

コミュニケーターの回線を切り替え、ワンディム達に指令を出すオオツカ警部。

オオツカ
「…皆んな、聞いてくれ。私が合図をしたら、一斉にワイヤーを切断して恐竜から離れろ!上空から高電圧ネットを投下する!」

ロボット達
「了解!!」

上空。
待機中のアース・ムーバー。その横にラピッド・スターが並ぶ。

アース・ムーバーのコクピット。
高電圧ネットの投下に備えているユキコ、横にラピッド・スターが並んだのを見て、コミュニケーターのスイッチを入れる。

モニターにリエが映る。

ユキコ
「(微笑みながら)…コラ、遅いゾ!人を呼んどいて、今ごろ来るっていうのはどういうコト?」

リエ
「…あら?肝心な処にはちゃんと間に合ったでしょ?…(自慢気に)抜かりはないんだから。」

そのリエの返事に苦笑するユキコ。

ユキコ
「…全くアンタには負けるわよ。」

と、コミュニケーターの呼び出し音が鳴る。
回線を切り替えるとゲンザブロウが映る。

ゲンザブロウ
「ユキコさん、始めるぞ。恐竜の真上に移動じゃ。」

ユキコ
「分かりました。」

スロットルレバーをゆっくりと引くユキコ。
アース・ムーバーの巨体が、ゆっくりと前進を始める。
地面に押さえ付けられた恐竜の真上で静止する。

ランド・チャレンジャー操縦席。
ショウイチを見るゲンザブロウ。

その横ではマイクを持ったショウイチが、オオツカとの回線を開いて待機している。

ゲンザブロウ
「ネット投下!」

ゲンザブロウの声を横に聞きながら、ショウイチがマイクを持ってオオツカに連絡する。

ショウイチ
「ワイヤー切断!!」

アース・ムーバー。
ゲンザブロウの声と共に、高電圧ネットの投下スイッチを押すユキコ。

路上。
オオツカのコミュニケーターからショウイチの声。
反射的にワンディム達に指令を出すオオツカ。

オオツカ
「今だ、ワイヤーを切れ!!」

その声に一斉にワイヤーを切断、恐竜から離れるロボット達。
必死に起き上がろうとしていた恐竜は急にワイヤーが緩み、勢い余って再び頭から地面に転倒する!亀裂が入り、陥没する路面!

その恐竜に上空からネットが降って来る。
頭からネットを被る恐竜。ネットに自由を奪われて立ち上がろうともがく!

次の瞬間、ネットから凄まじいスパークと雷撃!!
高電圧の衝撃を与えられた恐竜は、凄まじいばかりの咆哮をあげる。

周囲に轟き渡る恐竜の咆哮…


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.06.18 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018