SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(106L)
RE:552
SFXボイジャーの高電圧ネットを被せられ、恐竜は凄まじい咆哮をあげ続けている…

力を振りしぼり、強靭な後脚で仁王立ちになる恐竜。
しかしその瞬間、強烈な電撃が高電圧ネットから恐竜に向って放たれる!

一瞬、恐竜の動きが止まる…
急に力が抜けたかの様に、恐竜の巨体がグラリと大きく揺らぎ、次の瞬間、地面に向って倒れ込む!轟音と共に、道路に倒れ込む恐竜!

恐竜はネットの中で動かなくなる…

路上。
パトカーの前に立つオオツカ警部。
その後ろでは、ワンディム達も事の進展を見守っている。

倒れた恐竜を見て、一同の間に驚嘆の空気が流れる…

オオツカ
「凄い…恐竜の動きを止めたぞ!」

サーディー
「(ワンディムを見て)…あの高電圧ネットに使用されている技術は、かなり高度な水準にあると思います。一体、彼等何者なんでしょうか?」

ワンディム
「…私もそれを考えていた。…我々はこれで三度、彼等に助けられた訳だ…」

と、隣りのトゥースが何やら思い付いた様子。

トゥース
「…ひょっとすると、彼等、現代の人間じゃないかも知れませんよ。」

ワンディム
「(訝しげに)…どういう意味だ?」

トゥースの突飛な発想に怪訝そうなワンディム。
サーディーが横から割り込む。

サーディー
「(トゥースを見て呆れた様に)…トゥース、またその話ですか?…(ワンディムを見て)…彼はこの頃、テレビ電波を受信しては、こっそり観賞しているんです。特にSF映画が気に入ったとか…」

トゥース
「(嬉しそうに)そうなんですよ!…実は昨日テレビで放送されたのですが、未来の世界から、タイムマシンに乗った未来人がやって来るという映画を観たんです。今回の場合も、恐らくそのケースに該当するのではないでしょうか?だとすれば、これは凄い出来事です!」

ワンディム
「…トゥース、君の発想は随分飛躍している様に感じられるのだが…」

トゥース
「(自慢気に)ワンディムもやはりそう思いますか?この様な飛躍的発想が可能になったのも、みんなテレビの御蔭です。私の思考回路は、また一回り成長した気がします。…(嬉しげにカメラヘッドを動かす)…いやぁ、テレビって素晴らしいなぁ!」

ワンディム
「…………」

後ろで喋っているロボット達にオオツカ警部が気付く。

オオツカ
「(後ろを振り向き、ワンディム達を見上げる)…お前達、何をゴチャゴチャ喋ってる!?事態はまだ完全に終息した訳じゃないんだぞ!」

ワンディム
「(ハッとした様に)…済みません、警部。」

オオツカ警部に怒られ、しょげるロボット達。
再び、動かなくなった恐竜を注視する一同…

道路に倒れた恐竜は、高電圧ネットの下でピクリともしない。

その恐竜に向ってゆっくりと前進していたランド・チャレンジャー、少し離れた所で停止する。機体上部からセンサーシステムを出す。

操縦席。
ゲンザブロウがセンサーシステムのモニターに向い、恐竜をスキャンしている。

しかし、モニターには恐竜の形になった影が表示されているだけで、恐竜の体内は相変わらずスキャン出来ない。更に調整を続けるゲンザブロウ…

ショウイチ
「(ゲンザブロウを見て)…やはり、スキャンできませんか?」

ゲンザブロウ
「…どうやら、奴はまだ完全に機能を停止した訳ではないようじゃな…」

恐竜を見るゲンザブロウ…
その瞬間、倒れていた恐竜の眼が光る!

突然動き出す恐竜!
突然の事態に、成行きを見守っていたオオツカ警部も思わず後ずさる!

オオツカ
「何ッツ!!」

ネットを被ったまま、立ち上がる恐竜!

と、恐竜の姿が一瞬異様に歪む!
恐竜の前脚が伸び始め、次の瞬間それは、コウモリの様な翼を形作って行く!

その様子に息を飲むオオツカとロボット達!

恐竜の体全体が、一瞬、テレビのノイズの様なものに包まれる。

恐竜の頭や体が見る見る変化し、遂にティラノサウルスを想わせていたその姿は、

プテラノドンに似た翼竜へと変貌を遂げる…
翼をばたつかせ、首を振り、遂に高電圧ネットを外してしまう翼竜!

オオツカ
「…こんな事が……とても信じられん…」

上空、待機中のラピッド・スター。
コクピット。

ケンタ
「(驚く)…一体、どうなってるんだ!?…ティラノサウルスが、プテラノドンに!!」

驚愕するリエとケンタ…

翼竜は高い声で一声鳴くと、翼をはばたかせ始める…
周囲に凄まじい土煙が巻き起こる…


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.06.22 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018