SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(149L)
RE:134
機体後部のメインエンジンから煙を噴き上げ、B.O.C.は急激に高度を落して行く。
その前方には東京湾を横断する巨大な吊橋、ドリーム・ブリッジの橋桁が迫る!

ドリーム・ブリッジへの入口。
黒煙を噴き上げながら接近してくるB.O.C.に、ドリーム・ブリッジ上は大混乱に陥る。

と、ドリーム・ブリッジのなぎさシティ側入口に、科学捜査一課のロボット・チームが到着する。

その足元に一台のパトカー。
ガルウイング・ドアを跳ね上げ、オオツカ警部が降りる。

ワンディム
「皆さん、落ちついて下さい!慌てずに避難すれば、まだ充分時間があります!…(オオツカを見下ろし)…警部、私のシミュレーションでは、B.O.C.が現在の降下率で進行した場合、機首部分が丁度橋桁部分に衝突するものと予想されます。ですから…」

オオツカ
「(ワンディムの言葉をさえぎり)…分かったよ、お前達で衝突の衝撃を和らげようという訳だな?」

ワンディム
「(嬉しそうに)ハイ!!」

オオツカ
「(ため息をつき、肩をすくめる)フゥ…全くなんでお前達は、毎回毎回そうも無茶な事を思い付くんだ?…(ワンディム達を見上げ、微笑む)…だが、どうやら今回は、お前達の考えた方法以外に手がない様だな。…頼むぞ!」

ロボット達
「ハイ!!」

オオツカ
「但し!」

オオツカを見るワンディム達。

オオツカ
「…無理は絶対にしない事。危険だと判断した場合は直ちに脱出するんだ、これは命令だ。…良いな?」

ロボット達
「分かりました!」

橋の中央部へ移動して行くワンディム達…

上空。
ラピッド・スターとアース・ムーバー、ランド・チャレンジャーが共同で、プテラノドンに集中砲火を浴びせる!
しかし、それも決定的なダメージをプテラノドンに与える事は出来ない…

ラピッド・スターコクピット。

リエ
「一体、アイツの体はどうなってるのかしら!?これだけ攻撃してるのに、まるで機能が低下してないみたい…」

前部操縦席のケンタ、リエを振り返る。

ケンタ
「…姉ちゃん、やっぱり弱点を狙わなきゃダメだよ!」

リエ
「弱点?」

ケンタ
「(うなずく)…どんな奴にだって弱点があるでしょ?(ハッとする)…そうだ!もう一度、熱源探知ミサイルで奴のエンジンを狙ったら!?」

リエ
「(呆れた様に)何言ってんのよ、ミサイルはさっき使い切っちゃったじゃない。」

ケンタ
「(がっかりした様子で)…あ、そっか。でも、ランド・チャレンジャーの大型砲があるじゃないか!?」

リエ
「ダメダメ。動きが早すぎて、ランド・チャレンジャーの大型砲じゃ、そんな細かい狙い撃ちは無理よ。」

ケンタ
「…(ムッとしながら再び考え)…そうだ!ランド・チャレンジャーのセンサーで、アイツの構造を調べたら!?何か分かるかも知れないよ?」

考えるリエ。

リエ
「…そうね、今はそうでもするしか…(コミュニケーターのスイッチを入れる)…ランド・チャレンジャー、こちらラピッド・スター、リエ。」

モニターにゲンザブロウが映る。

ゲンザブロウ
「どうしたんじゃ、リエ?」

リエ
「お爺ちゃん、アイツの体をランド・チャレンジャーのセンサーで調べられないの?そうすれば、アイツの弱点が分かるかも?」

ゲンザブロウ
「確かにのぅ…ワシも何度も試してみたんじゃが、彼奴の周囲には何か特殊なフィールドが張り巡らされておってな、丁度コロモに包まれた揚げ物とおんなじで、中味が良く分からんのじゃ。(きっぱりと)…まぁ、つまりアイツは、でっかいコロッケみたいなもんじゃな。」

ケンタ
「…爺ちゃん、なんかタトエがミョウだゾ…」

リエ
「…でも、それじゃあ、どうすれば?」

ゲンザブロウ
「とにかく今は飛行船から奴を遠避ける事じゃ。集中砲撃で奴の注意をこちらに引き付けるんじゃ。」

リエ
「(うなずく)…わかったわ。」

ランド・チャレンジャー操縦席。
ショウイチを見るゲンザブロウ。

ゲンザブロウ
「飛行船の方はどうじゃ?」

ショウイチ
「…余り良い状況ではありません。ドライブをやられた様で、高度が下がっています。このままでは高度が不足してドリーム・ブリッジを越えられそうもありません。」

ゲンザブロウ
「…やむを得ん、(コミュニケーターに向う)…ユキコさん、ワシらを一旦地上に降ろしておくれ。アース・ムーバーで飛行船を支えるんじゃ!」

ユキコ
「分かりました。」

機首を反転させ、なぎさシティ方面へと向うアース・ムーバー。

B.O.C.エアロデッキ。
メインエンジンの小爆発の影響で、デッキのあちこちで小さな炎が上がり、デッキの周囲の機体も損傷が激しい。

デッキを取り巻く手摺も、その殆どが吹き飛んでしまっている。
煙の吹き上がっているサンルームを抜け、ビトー、エリカ達がデッキに出てくる。

ドリーム・ブリッジ。
すっかり避難の完了した橋の道路。

橋の中央部、外海に面した道路の端に、ワンディム達3機のロボット達が待機している。

サーディー
「(ワンディムを見て)…エネルギーの残量が殆どありません。恐らく我々が全力でジェットパックを使用出来るのは、約2分が限度ではないかと?」

ワンディム
「…どうやら、その様だな。…ならば、その2分間に賭けるぞ!」

サーディー
「…了解です。…この計画が成功する確率は高くないと思いますが、私には何故か納得出来る気がします…」

トゥース
「(サーディーを見て)…それは、お前の思考回路が人間的になりつつある証拠かも知れないな?」

サーディー
「…人間的。…余り有難い思考パターンではありませんね。もう少し論理的に割り切れる方が、私には合っているのですが。」

トゥース
「(冗談めいた口調で)…このヘソマガリめ!」

ワンディム
「(前方を注視したまま)…来たぞ!全機最大出力!発進!!」

トゥース、サーディー
「了解!!」

橋桁からジャンプするワンディム達!
背中のジェットパックを使い、B.O.C.の機首に取り付く!

最大出力でB.O.C.を押し戻すワンディム達!!

ワンディム
「…賭けるぞ…2分間に!!」


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.07.09 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018