SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(185L)
RE:
ランド・チャレンジャー操縦席。

ゲンザブロウ
「今じゃ、冷凍弾発射!!」

ショウイチ
「リョーカイッ!!」

コンソールの発射ボタンを叩き込むショウイチ!
アース・ムーバーに抱えられたランド・チャレンジャー、その機体上面の多装填ランチャーから凄まじい勢いで、おびただしい数の冷凍弾が次々に打ち出される!

ヴォルカティックに次々に炸裂する冷凍弾!
周囲にもうもうたる白煙が沸き上がる!

と、突然、その白煙を吹き飛ばし、煙の中からビームが発射される!

ショウイチ
「ユキコ、避けろ!!」

アース・ムーバー操縦席。
ユキコが必死に操縦捍を右に切り、姿勢制御エンジンを調整し、最大噴射でビームを避ける!

ユキコ
「(祈る様に)お願い、避けて、アース・ムーバー!!」

アース・ムーバーの機体すれすれにビームの閃光が擦り抜けて行く!

ショウイチ
「いいぞ、ユキコ!!」

再び冷凍弾を連続発射するランド・チャレンジャー。
ゆっくりと大きく円を描いて移動しながら、冷凍弾を発射し続ける!
もうもうたる白煙…

ヴォルカティック操縦席。
コンソールのあちこちでアラームが鳴り響いている。
必死に計器を調整するタバタ。

タバタ
「これは一体どうした事でございましょう、機体の温度が…(ハッとする)冷凍弾!?…(うろたえて)マ、マズイでございます!」

大慌てでコンソールパネルを操作するタバタ。
モニター上に機体の温度分布がグラフィック表示される。

極端な温度差を示している機体。最外殻の装甲は既に零下120度を示している…

操縦席のあちこちがミシミシと不気味な音を立て始める…

タバタ
「イカンでございますッ!このままでは機体がッ!」

ヴォルカティックの機体。
ミシミシと不気味な音を立ててきしむヴォルカティックの巨体。
その機体のあちこちに徐々に亀裂が入り始める…

空中。
尚も冷凍弾を連射し続けるランド・チャレンジャー。

ヴォルカティック操縦席。

タバタ
「こうなれば、このビーム砲で連続攻撃をッ!」

ビーム砲の発射ボタンを押し込むタバタ。
しかし、ビーム砲は最早凍り付いてしまい、ビームは発射しない…

タバタ
「ありゃ、出ない…(と、コンソールに火器使用不能のメッセージ。タバタ青くなる)…大変でございますッ!」

その瞬間、再びミシミシと大きな音がし、操縦席の天井に亀裂が入る!
あちこちで計器の回線がショートし、火花を噴き上げる!

タバタ
「マズイでございますッ!…ここはひとまず脱出でございますッ!!」

大慌てで操縦席を駆け出して行くタバタ。

海上。
もうもうたる白煙を噴き上げるヴォルカティックの機体…
冷凍弾の発射を停止するランド・チャレンジャー。様子を見る。

ランド・チャレンジャー操縦席。
ゲンザブロウがヴォルカティックのサーモグラフィーを見ている。

ゲンザブロウ
「(ショウイチを見て)これを見て御覧。奴の機体は、既に内外の温度差が裕に500度を越えておる…機体の崩壊は時間の問題じゃな。」

ショウイチ
「(モニターを見て)お父さん、アレを見て下さい!」

その声にモニターを見るゲンザブロウ。
白煙の中からヴォルカティックの機体が姿を現わす。

真っ白に凍結している機体。
と、その機体表面に次々に亀裂が入り始める…

ゲンザブロウ
「(ショウイチを見て)いかん、すぐここを離れるんじゃ!奴の崩壊はすぐじゃぞ!!」

ショウイチ
「分かりました!(コミュニケーターのスイッチを入れ)ユキコ、リエ、すぐにここから離れるんだ!奴が爆発するぞ!!」

ユキコ/リエ
「了解!!」

次々に発進するラピッド・スターとアース・ムーバー。
全速でヴォルカティックを離れる!

その背後で凄まじい爆発が起こる!!
大爆発を起こすヴォルカティックの機体…

海上。
ラピッド・スターとアース・ムーバーが空中で静止している。

その遥か前方には巨大な爆煙が上がっている…

その光景を見つめるゲンザブロウとショウイチ。

ショウイチ
「(ゲンザブロウを見て)やりましたね、お父さん…」

ゲンザブロウ
「(爆煙を見つめながら)…ああ…ジャンクの奴め、コレで懲りてくれるとイイんじゃがのお…」

ラピッド・スターコクピット。
大喜びのケンタとリエ。

ケンタ
「やったやったあ!!すげえや父ちゃん達!」

と、空からチラチラと何か降って来る…

ケンタ
「(気付いて)…アレ?何だコレ?」

空から降って来たそれは、ラピッド・スターのキャノピーガラスに落ちては次々
に消えて行く…

リエ
「雪だわ…」

ケンタ
「(驚いて)エッ!?…ホントだ!雪だッ!!」

リエ
「真夏の雪、か…」

ぼんやりと、その幻想的な光景を見つめるリエ。
雪は海に静かに降り続ける…

夜。
太平洋上。
真っ暗な海に、小さなカプセルが漂流している。

と、そのカプセルのすぐ脇の海面が突然盛り上り、水柱を噴き上げ、何か巨大な
物が浮上して来る。ドクター・ジャンクの潜水母艦、ブラウザスである…

ブラウザス艦内。
ボロボロになったタバタ。疲れた足取りで力なく歩いている。

と、後ろから誰かの声がする。


「(明るく)おお、戻ったな?」

振り向くタバタ。と、そこにはドクター・ジャンクの姿。
ジャンク、タバタの様子をしげしげと眺める。

ジャンク
「どうしたのだ、その姿は?…(事態を察する)…そうか…ダメだったのだな?」

タバタ
「旦那様…」

ジャンク
「(微笑み、うなずく)…うむ。(明るく)…そうだ、忘れる処だったぞ!…(何やら包みを取り出す)…ホレ、これをやるぞ。」

包みをタバタに渡すジャンク。

タバタ
「これを私めに頂けるのでございますか?」

ジャンク
「(照れた様に)まぁ、何だ、ソノ。いわゆる土産というヤツだな。」

タバタ
「旦那様…(包みを開ける)…これは…」

中から出てきたのは、小さなガラス玉の中に水を封じ込め、椰子の繁る南の島と、雪を想わせる白い粉末が入った飾り物である。

ジャンク
「行き先が無人島だったもので、土産物屋などなくてな。帰り掛けに近くの空港まで足を延ばしてわざわざ買って来たのだぞ。どうだ、(タバタから受け取り)…こうやって振ると…南の島に雪が降るという趣向だ。…(タバタを見て)…まあ元気を出せ。」

タバタに飾り物を渡すジャンク。

タバタ
「旦那様…(明るく)…ありがとうございます!」

タナカ鉄工所。
朝。

ケンタがサッカーの早朝練習に出かけて行く。
それを見送るユキコ。あくびをする。

ショウイチがパジャマ姿で頭を掻きながら居間にやって来る。
ふと、居間のクーラーを見上げる。

ショウイチ
「そういえば、結局コイツ使わなかったなぁ…雪が降ってからってもの、すっかり涼しくなっちまったからな。…ま、お楽しみはこれからだってトコかな?…」

あくびをしながら、新聞を取りに外へ出て行くショウイチ…

タバタ怨みのヒートアイランド作戦編 〜完〜

~ 初出:1994.09.25 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018