SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(209L)
RE:141
八重洲通り上空。
シュトゥルムと対峙を続けながら、空中に静止を続けているアース・ムーバー。
少し離れてラピッド・スターが静止している。

しかし、ラピッド・スターはドライブシステムの出力が充分安定せず、時折機体をふらつかせている…

アース・ムーバーに抱えられたランド・チャレンジャー。

その機体のあちこちでカバーが開き始め、小型のレーザーキャノンやミサイルランチャーが次々に姿を現わす。

その総ての照準が、一斉にシュトゥルムに合わされて行く…

パトカー前。
上空を見つめているオオツカ達。

イマイズミ
「…アッ、大型メカが攻撃準備をッ!(オオツカを見て)…遂に始まったんでスかね、警部!?」

オオツカ
「(つぶやく様に)…交渉決裂、と言ったところか…(インカムを取り)…ワンディム、奴等動くぞ!シュトゥルムがこれ以上破壊を続ける様なら、全装備で一斉攻撃!シュトゥルムを押さえろッ!!」

ワンディム(声)
「了解!」

パトカー前でオオツカ達と、事態の進展を見守っているキャムロン監督。

キャムロン
「(空を見上げながら)…それにしても、シュトゥルムに対峙しているあの巨大なメカニック…(オオツカを見て)…警部、ドクター・ウォルフシュタインの科学力に対抗し得る性能を持つ、あのメカニックは、一体?…」

オオツカ
「残念ですが監督、彼等については私も何一つ詳細な情報を持っていな<いのです。…(アース・ムーバーを見上げ)…ですが、今は彼らの科学力だけが頼りです…」

再び上空のアース・ムーバーを見上げるオオツカとキャムロン。

上空。
シュトゥルムと対峙しつつ、空中に静止しているラピッド・スター。

コクピット。
ヴァーティカル・ジェットの噴射音が響いているコクピット。
しかし、ジェットの推力は安定せず、時折機体が小さく傾いている…

前部操縦席のケンタ、相変わらずコンソールパネルの調整を続けている。

ケンタ
「…ダメだ、あんまり保ちそうもないや…(リエを振り返り)…急がないと…コイツのドライブ、そんなに無理させられそうもないぞ。」

リエ
「…ウン。(外を見て)だけど…」

困った様にアース・ムーバーの方を見るリエ。
と、アース・ムーバーに抱えられたランド・チャレンジャーの攻撃システムが一
斉に照準をシュトゥルムに向け始めている。

それと殆ど同時にコミュニケーション・システムが鳴る。
ハッとするリエ、モニターのスイッチを入れる。

と、不規則なパルスシグナル音が、スピーカー・システムから鳴り始める。
サブコンソールに何かメッセージが表示され始める…

リエ
「これは…(顔を上げ、アース・ムーバーの方を見る)…レーザーパルス通信だわ…(再びコンソールを見てメッセージを読む)…(顔を上げる)…ケンタ、グラン・マキシマイザーの発射準備を!ランド・チャレンジャーを援護するわよッ!!」

ケンタ
「リョーカイッ!!」

コンソールの右端にあるカバーを上げ、中のボタンを押し込むリエ。

機体下面。
ラピッド・スターの機体下部。
カバーがゆっくりと開き始め、中から大型のビーム砲が姿を現わす。

コクピット。
ケンタの操縦席前のキャノピーガラスに、ターゲットスコープが浮び上がり、コンソールパネルが開いて、発射ボタンのついたコントロールレバーが現われる。エネルギーレベルを表示するデジタルメーターと共に、

『 Gran-maximizer= Control connection: Check
  Target alignment system: Check
  Energy loading circuit: Connection
  Energy mode: Waiting recharge 』

のディスプレイが次々に表示され、セルフチェックが行われて行く…

セルフチェックが完了する。短い電子音が鳴り、チェックリストの最後に

『Ready』

のディスプレイが点滅する。
ディスプレイを確認するケンタ。コンソールパネルを操作する。

ケンタ
「エネルギーチャージ開始!!」

それと同時にジェットの推力がガックリと低下する。
グラリと傾く機体。コンソールの何処かでアラームが鳴り始める…

ケンタ
「うわっ!(リエを振り返り)…姉ちゃん、やっぱダメだ、出力が足んないよッ!!」

小刻みに操縦捍を動かし、慌ただしくペダルを踏み込むリエ。
すかさず機体を立て直す。

しかし、出力がかなり低下しているのか、ジェットの噴射音は先程と比べるとかなり弱まっている…

リエ
「(自信に満ちて)…大丈夫!そのまま続けてッ!」

ケンタ
「けど!」

リエ
「大丈夫!(微笑み)少しはアネキを信じなさいったら。」

ケンタ
「…(微笑みうなずく)…わかった!」

エネルギーメーターのデジタル表示がエネルギーの蓄積に連動し、目まぐるしくその表示を変え始める。照準システムを調整しながらその表示を見守るケンタ。

ケンタ
「…80…90…100!(リエを振り返り)エネルギーチャージ完了。いつでも発射出来るゾ!」

リエ
「(うなずき)分かったわ。」

コンソールパネルの下部から小型のキーボードを引き出すリエ。
キーボードからメッセージを入力し始める。

ランド・チャレンジャー操縦席。
コミュニケーション・システムのモニターを覗き込んでいるショウイチ。
と、モニターにリエからの通信メッセージが表示され始める。

ショウイチ
「ん、来たな…(モニターから顔を上げ、ゲンザブロウを見る)…ラピッド・スター、グラン・マキシマイザー準備完了です。」

ゲンザブロウ
「よし。…行くぞッ!(コミュニケーション・システムのスイッチを入れ)ユキコさん、出力最大!急速上昇じゃ!!」

アース・ムーバー操縦席。

ユキコ
「了解ッ!!」

操縦席の両側にある6基のスライドレバーを、全部一度に押し上げて行くユキコ。

機体底部。
アース・ムーバーのヴァーティカル・ジェットが一斉に炎を噴き上げ、最大出力で上昇を開始する!

シュトゥルム操縦席。

ジャンク
「(ニヤリとして)万策尽きたかゲンザブロウ…逃さんぞッ!」

ビーム砲の発射態勢に入るシュトゥルム。

ランド・チャレンジャー操縦席。

ゲンザブロウ
「今じゃッ!!」

ゲンザブロウの声と殆ど同時に、発射ボタンを押し込むショウイチ。

轟音と共に、大型砲をシュトゥルム目がけて発射するランド・チャレンジャー!
凄まじい衝撃音と共に、シュトゥルムの機体に炸裂する!

ビーム発射態勢に入っていたシュトゥルム、バランスを崩してビルにもたれかかる!

ビルの壁面を突き破る様に大地に倒れ込むシュトゥルム!

巨大な土煙の中、シュトゥルムは勢い余って、そのまま橋を踏み破り、下を走る高速道路に転がり落ちる!

シュトゥルム操縦席。

ジャンク
「(怒りに体を震わせ)ゲンザブロウッ!!」

室町ランプ。
暗渠になった高速道路から姿を現わすシュトゥルム。
上空のランド・チャレンジャーを見上げる。

そのままランド・チャレンジャー目がけ、ビームを発射しようとする!

ラピッド・スターコクピット。

ケンタ
「姉ちゃん、ランド・チャレンジャーが危ないッ!!」

リエ
「分かってるって!私達も行くわよっ!!」

ケンタ
「ウン!!」

ドライブを切替え、操縦捍を思いきり切るリエ!
機体を翻し、一気にシュトゥルム目がけて急降下するラピッド・スター!

凄まじい勢いで急降下を続けるラピッド・スター。

リエ
「ケンタ、グラン・マキシマイザーは使っちゃダメ!パルスビームをッ!」

ケンタ
「ウン!!…(スコープを注視して)…発射ッ!!」

発射ボタンを押し込むケンタ。
シュトゥルム目がけ、パルスビームを連射するラピッド・スター!
シュトゥルムの周囲で次々に炸裂!立て続けに土煙が上がる!

一瞬ひるむシュトゥルム。
再び急上昇するラピッド・スター。

上体を巡らせ、ラピッド・スターの姿を追うシュトゥルム。
と、再びシュトゥルムの至近距離で凄まじい爆発!

上空を見上げるシュトゥルム。

シュトゥルム操縦席。

ジャンク
「(上空を見上げ)重機動マシーンめ、それ程ヤラレたいかッ!!」

メインモニターの片隅、機体モードメニューに視線を合わせるジャンク。

シュトゥルム機体。
シュトゥルムの背中が大きくせり上がり、大型ジェットブースターが形成される。
轟音と共に、巨大な炎を噴き上げるブースター!
周囲の空気が大きくうねりを上げ、辺りに旋風が巻起こる!

ゆっくりと上昇を始めるシュトゥルム…


〜 つづく 〜

~ 初出:1995.04.09 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1995, 2018