SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(100L)
RE:512
全速で映像保存センターに向うラピッド・スター。
コクピットのリエとケンタ、モニターにはゲンザブロウの姿。

ゲンザブロウ
「どうじゃ?ラピッド・スターの性能は?」

リエ
「もう最高!シミュレーション以上の性能だわ!」

ゲンザブロウ
「さすがはブレインズ教授の動力システムじゃ、期待以上じゃの。(脇の時計を見る)…恐らくあと1、2分でセンターに到着じゃな…。解っているとは思うが、センター周辺にはまだ随分と人が残っておる。危険を避ける為、発砲はしない事。初飛行では少々荷が重いかも知れんが、マニピュレート・アームを使って相手の飛行能力を奪うんじゃ。」

ゲンザブロウの指示に、一瞬リエの表情に緊張が走る。
しかし、それを押し隠す様に明るく応えるリエ。

リエ
「解ったわ、やってみる!…(ケンタを見て)頼むわよ、ケンタ!」

ケンタ
「OK、オレにまかせろって!」

ゲンザブロウ
「マニピュレート・アームを出すと、機体の空気抵抗が増して運動性能が低下する。それに機体のバランスをとるのが非常に難しくなるから、充分注意して操縦するんじゃぞ!」

リエ
「了解!…ケンタ、マニピュレート・アームを出すわよ!操作は頼むわね!」

ケンタ
「了解!!」

操縦席のスイッチを入れるリエ。
ラピッド・スターの機体前部、収納されていた腕がガクンと下に下がる。
その途端、バランスを崩す機体!

リエ
「キャ〜ッ!」

ケンタ
「姉ちゃん!!」

急速に高度が下がり、失速するラピッド・スター!
ケンタの膝の上、ニャンコが暴れる!

ケンタ
「大丈夫、大丈夫だよニャンコ!」

そう言いながらも、思わずニャンコをしっかりと抱き抱えるケンタ。
急降下する 機体。

鉄工所。
モニター前のゲンザブロウ、ショウイチとユキコ。
ユキコ、この様子に 思わずショウイチに寄り添う。ユキコの手を握るショウイチ。

しかし、必死に体勢を立て直すリエ、素晴らしい操縦だ。

街の上でぐっと機首を持ち上げ、上昇するラピッド・スター。

リエ
「…大丈夫、立て直したわ。ふう…ケンタ、センサーグラブを着けて。」

思わず息をつくリエ。
ケンタの操縦席の前、パネルが開いて支持棒の付いた手袋状のセンサー・システムが出る。
それに手を通すケンタ。手を動かして見る。

ラピッド・スターの機体。
ケンタの動作に合わせてマニピュレート・アームが動く。

ケンタ
「準備OK、行くぜ姉ちゃん!!」

リエ
「了解!!」

機体を翻し、映像保存センターに向って急降下するラピッド・スター!

コクピット、ケンタが拳を握った右腕を突き出す。
それがラピッド・スターの姿にオーバーラップする!

映像保存センター。
メカニカニは既に殆どのコレクションを吸い込んでいた。
ロボット機動隊も動作不能に陥り、手も足も出ない警察。
悔しげにメカニカニの略奪を見守るオオツカ警部。

オオツカ
「く、くそ〜っ!!何か、何か手はないのかっ!?」

悔しさの余り、ベコベコになったパトカーのボンネットに拳を叩き付ける。

と、空の彼方で何かがキラリと強烈な反射光を発する。

急降下してくるラピッド・スター!
突き出した拳を、思いきりメカニカニに叩き込む!!

不意を食らったメカニカニ。
ボディがボッコリと陥没!空中で一回転し、センターの壁面に激突する!

ラピッド・スターは地上すれすれ迄降下し、オオツカ警部達の頭上を越え、機体をロールさせながら再び急上昇する。その翼が太陽の光にまばゆい輝きを発する!

オオツカ
「あ、あれは一体何だ!?」

突然の出来事に驚くオオツカ警部達。

メカニカニの機内。
不意打ちを食らって、操縦系のコンソールがあちこちで火花を吹く!

傾いた機内。
太った執事風の小男が頭を押さえながらよろよろと立ち上がる。


「…旦那様、大丈夫でございますか?…一体、何が起こったんでございましょう?」

外のモニターカメラの映像を順に切り替え、モニターに映して行く。
と、モニターに映るラピッド・スター。

その映像をアップにする。


「旦那様…こ、これは!?」

奥の操縦席に立派な顎髭を蓄えた白髪の老紳士。
彼こそが特撮界の支配を企む恐るべき悪の天才科学者、ドクター・ジャンクである。
モニターのラピッド・スターを凝視するジャンク。

ジャンク
「…ゲンザブロウ…また私の邪魔をしようというのか…許さん…許さんぞゲンザブロウ!!」

〜 つづく 〜


~ 初出:1994.04.11 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018