SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(154L)
RE:551
機体を青空にきらめかせながら急上昇するラピッド・スター!
コクピット、マニピュレート・アームの一撃で傾いたメカニカニを見て、意気あがるリエとケンタ。

ケンタ
「姉ちゃん、やったぜ!!」

リエ
「ええ、とりあえず、先制パンチは結構利いてるみたいね。じゃあ、今度は下から回り込んで推進装置を破壊するわよ!」

ケンタ
「OK!!」

再び拳を突き出すケンタ、リエは操縦捍を倒し、再び急降下の体勢に入る。
急速に高度を下げるラピッド・スター。

メカニカニ機内。
モニターを見ているドクター・ジャンクとその執事、ギャリソン・タバタ。

タバタ
「旦那様、またあの正体不明の腕付き飛行機が、こちらに向って参りますが…如何致しましょう?」

ジャンク
「フッフッフ、ゲンザブロウの奴め、相変わらず訳の分らんメカを作っておるようだな。…しかし、ゲンザブロウよ、お前などに私の邪魔はさせん!…このコレクションを我が掌中に収めれば、私は特撮界に君臨出来る!無敵の特撮王となるのだ!!…(タバタを見て)タバタ!エレクトロ・マグネティック・ジェネレーター始動!あいつの制御システムを破壊してやれっ!!」

タバタ
「かしこまりました…」

おもむろにコンソールのキーボードを操作するタバタ。
メカニカニの機体、口の部分が大きく開き、強力な電磁波発射システムが姿を現す。不気味なうなりをあげながら、システムが始動、下から回り込んでくるラピッド・スター目がけて強烈な電磁波を放射する!

まともにその電磁波を受けるラピッド・スター!

コクピット。
操縦席のモニターが一瞬真っ白なノイズに被われる!

リエ
「…!何!?一体どうしたっていうの!?…機体のコントロールがっ!!」

操縦不能に陥るラピッド・スター。
その前方には65階建ての各省庁総合庁舎ビルが迫る!

ビルの窓に群がり、この様子を眺めていた人々、突っ込んでくるラピッド・スター
に大混乱になる。一斉に逃げ出す人々。

コクピット、リエが必死に操縦捍を操作するが、全く反応しない。
ケンタ、前方のビルに人々の姿を見つけ、慌てる。

ケンタ
「姉ちゃん、このままじゃビルにぶつかっちゃうよ!!」

それには応えず必死に操縦捍を操作するリエ、しかし相変わらず反応しない。
リエの額に汗が流れる。

ケンタ
「姉ちゃん!!」

思わず目をつぶるケンタ。リエは焦る気持ちの中で必死に考える。

リエ(心の声)
「システムが全然反応しない!…モニターも全部使用不能に…この状態は…一体原因は?」

リエ
「……そうだわ!!」

目前に迫るビル!!

その瞬間、操縦席の左側にあるボタンを思いきり叩くリエ!
ボン!という鈍い音と共に電磁波遮断回路のメカニカル・コネクターが接続される!!

一斉に機能を回復する操縦システム。
思いきり操縦捍を引くリエ!

殆ど直角に上昇する機体!しかし、勢いのついた機体は完全に上昇しきれず、総合庁舎ビルの壁面に腹を擦り付ける!!

飛び散る火花!!腹を擦り付け、火花を散らしながら上昇するラピッド・スター。
凄まじい衝撃がコクピットを襲う!

ケンタ
「ウワーッ!!」

必死に操縦捍を引き続けるリエ!なおも上昇する。遂にビルの屋上を通り越す!

リエ
「ケンタ、このまま突っ込むわよ!!」

ケンタ
「う…うん、了解!!」

そのまま宙返りして急降下する!

メカニカニ機内。
その様子を見ていたドクター・ジャンク。

ジャンク
「!電磁波遮断システムだとっ!?バカな!!タバタ、ミサイルで応戦しろっつ!!」

タバタ
「かしこまりました…」

メカニカニの上部ハッチが開き、ミサイルが姿を現す。
全ミサイルを垂直に一斉発射する!

その攻撃をマニピュレート・アームを機体前方でクロスさせ、操縦席をかばうような姿勢でブロックするラピッド・スター!!

タバタ
「申し訳ございません、ミサイルは効き目がない様でございますが…」

ジャンク
「何だとっ!!何とかせんかっ!!何とかっ!!」

タバタ
「申し訳ございません、既に如何ともし難い状況かと…」

メカニカニの機体に思いきりパンチを叩き込むラピッド・スター!

メカニカニのハサミが一つふっ飛ぶ!!大きく傾くメカニカニ。

地上付近で上昇に転じたラピッド・スターは、すかさずメカニカニの下面に回り
込む。

リエ
「ケンタ、今よ!思いっきりやっちゃいなさい!!」

ケンタ
「リョーカイッ!!コノコノコノッ!!」

空中でホバリングしながらメカニカニの飛行システムに連続パンチ!
遂にメカニカニの飛行システムが小爆発を起こす!!

メカニカニ機内。

ジャンク
「わーっ!無茶するなーっ!!うわっ、これはマズイ!!」

タバタ
「旦那様、相手の方は至極凶暴な方の様です。ここは一旦脱出した方が賢明かと…」

ジャンク
「やむをえん、残念だがコレクションは一旦放棄する、脱出だ!!」

タバタ
「かしこまりました…」

メカニカニの上部ハッチが開く。射出される脱出カプセル!!
更に爆発を起こすメカニカニ。グラリと大きく傾く。
その機体をマニピュレート・アームで支えるラピッド・スター。

コクピット。

リエ
「ケンタ、もういいわ。乗ってた奴は脱出したみたい。墜落させないようにしっかり支えてて。これからゆっくり降ろすわ。」

ケンタ
「うん。…やったね、姉ちゃん!」

にっこりと微笑むケンタ。
そのケンタの膝の上でニャンコが嬉しそうに鳴き声をあげる。

その言葉に万感の思いで応えるリエ。

リエ
「…うん。」

ゆっくりとメカニカニを地上に降ろすラピッド・スター。

その周囲に集まってくるオオツカ警部と警官隊の面々。
呆然とこの信じ難い光景を見つめる。

オオツカ
「一体、あれは何だ?…(コクピットを見る)…子供が操縦してるのか!?…」

ホバリングしながらオオツカ警部にVサインを出すラピッド・スター。

コクピッ トではケンタとリエが顔を見合わせて笑う。
そしてエンジンを全開し、青空の彼 方に飛び去る。

それを見送るオオツカ警部。まだ信じ難い様子。

オオツカ
「奴等…正義の味方なのか?……」

ナレーション
「リエとケンタの活躍で、ドクター・ジャンクの悪企みは阻止された。しかしこれであきらめるドクター・ジャンクではない。負けるな御町内特撮救助隊SFXボイジャー!」

上空の脱出カプセル。

ジャンク
「ワシがこんな事であきらめるかだと?とんでもない!次なる作戦では必ずや、あの腕付き飛行機に目にもの見せてやる!!」

タバタ
「御立派でございます…」

空をゆくカプセル…

〜 つづく 〜



~ 初出:1994.04.12 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

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