SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(95L)
RE:117
浜松町。
世界貿易センタービルは既に改築され、70階建ての新しい超高層ビルに建て替えられている。

高層ビル脇の公園、その広場には、首都防衛隊の対策本部が設営されており、ビル前の通りには何台もの装甲車が停められ、防衛隊の隊員達が隊列を組んで慌ただしく行き交っている…

その喧噪の中に、ロボット機動隊のリーダー機の姿がある。
何事かを考えている様子。

リーダー機
「…なぜ、警部は自分の身を危険にさらして迄、私を助けてくれたのだろう…警部の指示に従わなかったロボットの私を…」

その時、ビルの彼方で轟音が響く!夜空が異様に明るく輝く。
それを見るリーダー機のカメラ・アイ。

対策本部のテント。
轟く轟音に、テントの隊員達が一斉にその音の方向に目を走らせる。

その中にオオツカ警部の姿もあった。傷だらけで腕に包帯を巻いている警部。
悔しげな表情で空の閃光を見つめる。

オオツカ
「くそお、どうしようもないのか…」

その隣りに防衛隊のタカツキ司令が来る。オオツカを見る。

タカツキ
「警部、ご苦労様でした。危ない処でしたな…」

オオツカ
「(タカツキを見て、軽く敬礼する)…ありがとうございます、司令。しかし、防衛隊は何故待機しておられるのです?ここは一刻も早く、事態の収拾を図るべきではないのですか?」

タカツキ
「おっしゃる事は良く分かります。私も出来る事ならばそうしたい。しかし…(しばらく視線を外す)…こちらへどうぞ。」

オオツカをテントの中へ促すタカツキ。
片隅に設置されたモニターの前に来る。

タカツキ
「(隊員を見て)…君、先刻の映像を。」

隊員
「ハイ。」

モニターに映るドグーとランド・チャレンジャー。
先程のドグーの強烈なビームと、ランド・チャレンジャーのバリアーが映る。
その様子に驚くオオツカ。

オオツカ
「…これは…」

タカツキ
「彼等の用いている科学技術は、我々の常識を超えたものです。それに、あの装甲車はロボットの侵攻を阻止しようとしている様だ。私はもうしばらく、事態の推移を見守るべきだと考えています。」

映像が上空のヘリコプターからの映像に切り替わる。
上空のアース・ムーバー、ラピッド・スターが映る。

オオツカ
「あれは?…映像保存センターで我々を救ってくれた飛行機だ…彼等、一体何者なんだ…」

再びモニター映像。それが実際の風景にダブる…

エア・ハードナーの素晴らしい威力で、ドグーの脚は道路にしっかりと固定されている。
身動きの取れなくなったドグーを見て喜ぶショウイチ。

ショウイチ
「やりましたよ、お父さん!大成功だ!」

しかし、その横のゲンザブロウ、まだモニターのドグーを凝視し続けている。

ショウイチ
「…どうかしましたか?」

ゲンザブロウ
「…いや、ジャンクの事じゃ、このままおとなしく引き下がる事もあるまい。…何かある、きっと何か…」

その言葉につられ、モニターを見るショウイチ。
と、突然ドグーの頭部が身体の中に沈み始める。中から現われる脱出カプセル。

ショウイチ
「お父さん、アレを!」

ゲンザブロウ
「脱出するつもりじゃな…」

発進する脱出カプセル。

ショウイチ
「すぐ追跡を!ジャンクを捕まえましょう!ラピッド・スターに追跡させます!」

コミュニケーターのスイッチを押すショウイチ。
しかし、その時、モニターを注視していたゲンザブロウがそれを遮る。

ゲンザブロウ
「待て!アレを見るんじゃ!!」

その声に手を止め、モニターを見るショウイチ。

道路上のドグー。
その胴体のあちこちで小さな固定用スライド・ロックが動く。

突然ドグーの飛行用大型エンジンが炎を噴き上げ、固着した脚部を道路に残した
まま、その胴体部がゆっくりと飛行を始める!

ショウイチ
「分離できるのか?奴は!!」

轟音を轟かせ、上空に浮び上がった胴体部は、その向きをトーキョー・タワーに
向ける。ゆっくりと上空を行く胴体部。

ゲンザブロウ
「いかん、奴はトーキョー・タワーを狙っておる!!」


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.05.08 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018