SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(117L)
RE:144
ドリーム・ブリッジ。

メインエンジンから真っ黒な煙を噴き上げながら、B.O.C.がゆっくりと、徐々に高度を落しつつ、一直線に橋に向って直進し続けている…

B.O.C.の機首。
取り付いたワンディム達、背中のジェットパックを全開し、全力でB.O.C.を減速させようとする。

トゥース
「…ジェットの持続時間があと1分20秒を切りました!…シミュレーションより減速率が約10%鈍い様です!」

ワンディム
「…(トゥースを見て)…分かっている!!…しかし、ここで我々が諦めれば、すべては終りなんだ!…全力を尽くすんだ!!」

トゥース
「…ワンディム……(力強く)了解です!!」

ワンディム達のジェット噴射が一層、その強さを増す。

B.O.C.操縦席。
操縦席のキャプテンと副操縦士、何とかドリーム・ブリッジとの衝突を避けようと、必死に操縦系統の調整を続ける。

キャプテン
「(副操縦士を見て)…どうだ?」

副操縦士
「…ダメです。ドライブ・コントロール系の計器が総て反応しません!…恐らく、かなり中枢の情報ケーブルが切断されているのではないかと思われます。」

キャプテン
「…そうか…(窓の外を見る)…あれを見てみろ。警察のロボット達だそうだ…彼等、我々を救うために体を張ってくれている…私には、彼等が単に指令を受けてああしているとは、どうしても思えない…」

その言葉に、副操縦士も顔を上げ、窓の外のワンディム達を見る。

副操縦士
「…まったくです。まるで、彼等には心がある様に、私には思えるんですが…」

キャプテン
「(窓の外を見ながら)……心か…」

上空。
ラピッド・スターのパルスビーム砲がプテラノドンに炸裂する!
しかし、プテラノドンには一向に効き目がない…

急上昇して体勢を立て直そうとするリエ。
と、その瞬間、プテラノドンが口を開き、突然、強烈なビームをラピッド・スター目がけて発射する!

反射的に操縦捍を倒し、高度を下げて危うくビームを避けるリエ!

リエ
「クゥ!!」

ビームはそのまま一直線に海面に到達し、巨大な水蒸気の柱を空高く噴き上げる!

急旋回し、再び体勢を立て直すラピッド・スター。

リエ
「…やっぱり、何とか構造上の弱点を突かないと…」

苦しげな表情のリエ…

なぎさシティ上空。
降下してくるアース・ムーバー。

メインストリートに沿いながら、徐々に高度を下げる。

ランド・チャレンジャー操縦席。
真剣な表情でタイミングを図っているショウイチ。

その隣ではゲンザブロウがコミュニケーターでユキコと話している。

ゲンザブロウ
「少々荒っぽいが時間がない。ユキコさん、高度を出来るだけ下げたら、ランド・チャレンジャーのドッキング・ロックを解除するんじゃ。こっちは何とかする。あんたはそのまま飛行船に向うんじゃぞ!」

ユキコ
「でも、お父さん!」

ゲンザブロウ
「ワシの作ったメカじゃ、信じなさい!」

ユキコ
「…(心を決める)…分かりました…ギリギリまで高度を下げます。(ショウイチを見て)…あなた、しっかりね!」

ショウイチ
「(微笑む)…なるべくお手軟らかに頼むよ。」

ユキコ
「(微笑む)…ハイ。」

高度を下げるアース・ムーバー。
メインストリートすれすれまで高度を下げる。

ユキコ
「あなた、いくわよっ!ドッキング・ロック解除!!」

アース・ムーバーの下面。
ランド・チャレンジャーの機体を固定していたロックが一斉に外れる!

轟音を立て、ランド・チャレンジャーの巨体がメインストリートの上に落下する!

凄まじい音を立てながら、ランド・チャレンジャーがメインストリート上を滑べって行く!

ランド・チャレンジャー操縦席。
凄まじい振動の中、ショウイチがブレーキを一杯に踏み込み、全制動をかけ続けている。

ショウイチ
「このぉ、止まれーっつ!!」

路肩に駐車している自動車を跳ね飛ばしながら滑べるランド・チャレンジャー。
凄まじい土煙が立ち、路面のアスファルトが摩擦の為に煙を上げる!

遂に横滑りを起こすランド・チャレンジャー。
機体が斜めになりながら、遂に中央分離帯の植え込みに突っ込む!

…ようやくそこで止まる。

急に静かになったランド・チャレンジャーの操縦席。
周囲には只、エンジンのアイドリングの音だけが響いている…

顔を上げるショウイチ。

ショウイチ
「…止まった…」

傍らのコミュニケーターからユキコの声。

ユキコ
「あなた、大丈夫なの!?…あなた?あなた!?」

ゲンザブロウ
「…ふぅ…(ショウイチを見て)…ユキコさんが心配しておる。応えてあげなさい。」

ショウイチ
「(うなずく)…心配ない、こっちは大丈夫だ。それより、早く飛行船に向うんだ!」

ユキコ
「(ホッとした様に)…良かった……飛行船に向います!」


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.07.10 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018