SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(171L)
RE:NON
ヴォルカティック操縦席。
ラピッド・スターの反応の消えたレーダーモニター。

そのモニターを満足気に眺めながら、シートにゆったりと腰を降ろすタバタ。

タバタ
「(満足気に)ムフフ…やりました。遂にこのタバタ、ゲンザブロウのメカの1機をやっつけたでございます。…(考える)…私め、ひょっとしたら本当は旦那様よりも才能があるのではないでしょうか?…(自信に満ちて)…うむ、きっとそうでございます!…いやぁ、コレは大変な事でございますよ。やはり能ある鷹は尻隠さずでございますッ!…フッフッフ、遂にこのタバタが、真の姿をお目にかける時が来た様でございますねッ!」

訳の分からない事を言いながら、勝利に酔いしれるタバタ…

空中。
雲海の下、低空で静止しているラピッド・スター。
コクピット。

ケンタ
「(済まなそうにリエを振り返り)…ごめん、ヤラレちゃった…」

リエ
「(微笑み)…気にするコトないわ、上出来よ。(モニターを見て)…取巻き達を大分ロボット本体から引き離せたわ。(コミュニケーターのスイッチを入れる)…お母さん、お母さん!」

海上。
雲間から射す日差しが、一面の海にキラキラとした輝きを作り出している…
その上空を飛行しているアース・ムーバー。

操縦席。
コミュニケーターのスイッチを入れるユキコ。

ユキコ
「…こちらユキコ。リエ、大丈夫?…(レーダーモニターを見て)…どうやらうまくいったみたいね。」

モニターに映るリエ。

リエ
「(大げさに)あたし達にマカセなさいって。バッチリ取巻き達を誘き出したわ。…(ニッコリと)…後はマカせるわね。」

ユキコ
「分かったわ、取巻きは私達に任せて。…(回線を切り替え、ショウイチを呼ぶ)…あなた!」

ランド・チャレンジャー操縦席。
コミュニケーターで交信しているショウイチ。

ショウイチ
「…まかせなさいっ!…(脇のマルチモニターで照準を合わせる)」

モニター映像。
画面の片隅に

『Monitor view: TELE / Magnification: MAXIMUM』の表示が点滅している。
はるか彼方、雲の切れ間に編隊を組んで飛行する排熱ポッドが見える…

ショウイチ
「いたな…」

モニターの映像。
飛行している排熱ポッド編隊の何箇所かに、同時に照準カーソルがロックされる。

ショウイチ
「頂きッ!!」

発射ボタンを押し込む。

ランド・チャレンジャーの上面、多装填ランチャーが、ゆっくりと旋回しながら次々にミサイルを発射する!

白煙の航跡を引きながら、次々に発射されるミサイル。

一直線にポッドの編隊に向う!
ポッドがミサイルの接近に反応し、パッと四方に散開する!

と、ミサイルの白い航跡も、ポッドを追う様に急角度で四方に散る!
ミサイルに向って一斉にビームを発射するポッド。

と、その途端、ミサイルの先端部が次々に吹き飛び、周囲にネットが広がる!
ポッドは次々に、突如空中に広がったネットの中に突っ込んで行く!

あちこちでネットにからめとられたポッド同士が衝突し、破片を飛び散らせながら次々に海面に落下する!

次々に巨大な水柱が立ち、あっと言う間にポッドの姿は空中から消える…

ランド・チャレンジャー操縦席。
ポッドを一網打尽にし、得意満面のショウイチ。

ショウイチ
「(得意気に)見たか、私の実力をッ!…(コミュニケーターに向い)…いいぞリエ、取巻きはやっつけた!」

ラピッド・スターコクピット。

リエ
「分かった!…(ケンタを見て)…いくわよッ!」

ケンタ
「ウン!!」

ドライブ出力を一気に上げるリエ!
ラピッド・スターは急上昇し、ヴォルカティック目指して一直線に行く!

ヴォルカティック操縦席。
レーダーモニターが何物かの接近を探知し、アラームを上げる。
操縦席のタバタ、モニターに表示されている識別コードに呆然とする。

タバタ
「(モニターを見て)…バカな…この識別コードは、先刻撃墜したゲンザブロウのメカではございませんか…」

ラピッド・スターコクピット。
ヴォルカティックの機体に急接近するラピッド・スター。

キャノピーガラス一杯に、ヴォルカティックの巨大な機体が広がる。
ラピッド・スターはヴォルカティックの機体に沿い、まるでヴォルカティックをからかう様にその周囲を飛び回る。

と、ヴォルカティックの巨大な腕が、突然ラピッド・スター目がけて振り降ろされる!

キャノピー一杯に広がるヴォルカティックの巨大な手!

ケンタ
「(思わず目をつぶり)ウワッ!」

リエ
「コイツッ!!」

思いきり操縦捍を左に倒し、ヴォルカティックの腕を避ける!
更にヴォルカティックに接近し、周囲を飛び回るラピッド・スター。

ヴォルカティック操縦席。
レーダーモニターには周囲を飛び回るラピッド・スターの反応が、目まぐるしくその位置を変えながら表示されている。

タバタはその表示を見ながら、ヴォルカティックの腕をムキになって振り回している。

タバタ
「全くコうるさいメカでございますッ!!…ええい、うるさいッ!でございます!!」

尚も腕を振り回すタバタ。
しかし、必死に振り回す腕もラピッド・スターには全く当らない。
真っ暗なままの外部モニターを見る。

タバタ
「(イラついて)…やはり、外が見えなくては話しにならんでございますッ!…エイッ!(傍らのボタンを叩き込む)」

前面のモニタースクリーンが上がり、分厚い隔壁がゆっくりと左右に開き始める。
操縦席の前に窓が開く。と、正面にラピッド・スターが静止している…

タバタ
「(ニヤリとして)…そんなところにいらっしゃいましたか…」

ラピッド・スターコクピット。

リエ
「…窓が開いたわ。(悪戯っぽく)ケンタ、バカにしちゃいなさい!」

ケンタ
「ウン!…(両手を耳の横でヒラヒラさせながら)ベロベロバ〜!」

ヴォルカティック操縦席。
正面のラピッド・スターのコクピットでは、ケンタが「あかんべえ」をして、タバタをバカにしている。その様子に思わずキレてしまうタバタ!

タバタ
「ググッ!何でございましょうあのガキはッ!…許せませんッ!!」

怒ったタバタ、ヴォルカティックの巨大な腕で、ラピッド・スターを叩き落そうとする!しかし、ラピッド・スターはその腕をスルリとかわしてしまう!

ラピッド・スターコクピット。

ケンタ
「これでも食らえッ!!」

コンソールパネルのボタンを押し込む。
ヴォルカティックの窓目がけ、消火弾をぶち込むラピッド・スター!

消火弾はヴォルカティックの窓に炸裂!
窓の強化ガラスは、たちまち真っ白な消火剤で被われる!

タバタ
「コノォ〜ッ!よくもおやりになりましたねッ!もう許せませんッ!このヴォルカティックが叩き潰してさしあげますッ!!」

怒り心頭に発したタバタ、操縦席のスロットルレバーを一杯まで倒す!
ヴォルカティックのメインドライブがうなりをあげ、最大出力でラピッド・スター目がけて突進を開始する!

ラピッド・スターコクピット。

リエ
「(嬉しげに)…うまいわケンタ!アイツ完全にアタマにキたわ。このまま逃げ切るわよッ!」

ケンタ
「ウン!」

スロットルを全開するリエ!


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.09.25 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018