SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(171L)
RE:NON
再開発地区。
ダロスを片腕で持ち上げたシュトゥルム。
その怪力に、シュトゥルムに掴まれたダロスの機体がギシギシと変形し始める!

シュトゥルム操縦席。
モニターに映し出されたダロス。既に機体のあちこちから煙を噴き上げている。
その映像を冷静な表情で見つめるドクター・ジャンク。

ジャンク
「君には幻滅したよ、ダロス…」

ダロスを掴んでいた手を緩めるシュトゥルム。
掴まれていたダロス、力なく地面に落下、先程倒れ込んだスーパーマーケットの建物の上に、再び落ちる。

今度は建物が大きく崩れ、屋上の巨大な看板が、倒れたダロスに被い被さる様に崩れて行く。
もうもうたる土煙が立つ。

パトカー前。
インカムを付けたオオツカ、ロボット・チームに指示を出す。

オオツカ
「よし、ダロスを放したぞ…今だ!ヘイルストーム・ミサイル発射!」

一斉にシュトゥルムを砲撃するロボット・チーム!

アームガンから連続発射されたミサイル、空中で外装が吹き飛び、数え切れない程の小型の弾頭がシュトゥルム目がけてぶちまけられる!

シュトゥルムの機体が無数の爆発に包まれる!

シュトゥルムの機体。
猛烈なヘイルストーム・ミサイルの攻撃!

機体表面では小さなハッチや排気システムのカバー、外部カメラなどが次々に吹き
飛ぶ!機体表面で次々に起こる小爆発!

パトカー前。
腕組みをしながらロボット・チームの攻撃を見守るオオツカ。
隣りのイマイズミ刑事、ロボット達の強力な攻撃に驚く。

イマイズミ
「す、凄い…(オオツカを見て)…警部、あの武器は、一体?…(興奮気味に)…凄いぞ!ロボットがひるんでまス!」

オオツカ
「(うなずく)…ああ、新たに装備したヘイルストーム・ミサイルだ。発射直後に空中で多数の小型弾頭に分散、広範囲にダメージを与える事が出来る…」

ロボット・チームの猛烈な攻撃が続く。

ワンディム
「トゥース、サーディー両翼へ展開、奴を包囲。集中砲火を続行!」

トゥース/サーディー
「了解!」

砂塵を巻き上げホバリングするトゥース、サーディー。
移動しながら次々にミサイルを発射する!

シュトゥルムの機体に炸裂する無数の弾頭!

シュトゥルム操縦席。
マルチモニターの一部は、既にカメラを失ってホワイトノイズに被われている。

残ったモニターに映し出されるロボット・チームの姿と、機体に加えられる凄まじい攻撃の様子。絶え間なく衝撃が続いている…

ジャンク
「(操縦席脇のチェックモニターを確認し、納得した様子でうなずく。
(ニヤリとしながら正面のモニターを見る。)…仲々やるな。どうやら大分パワーアップした様だな。しかし…(キッとして)所詮はこのシュトゥルムの敵ではないッ!!」

コンソールの発射ボタンを押し込む!

シュトゥルム機体。
機体の外装、猛烈な攻撃で作動不能になったハッチを吹き飛ばし、シュトゥルムの
胸部から強烈なビームが発射される!

ホバリングしながら砲撃を続けていたトゥースの至近距離で炸裂!
吹き飛ばされるトゥース!

近くのビルの壁面に激突する!

トゥース
「ウワーッ!!」

ワンディム
「トゥース!!」

タナカ鉄工所。
ゲンザブロウが慌てた様子で外から戻って来る。
それを迎える様に、工場の中からショウイチが緊張した表情で現われる。

ショウイチ
「(ゲンザブロウを見て)…あ、お父さん!ジャンクのロボットが出現したんです!すぐ出動します!」

ゲンザブロウ
「…待ちなさい!……出動してはいかん!」

ショウイチ
「何ですって!?一体どうして…」

ゲンザブロウ
「奴は…(目を伏せ)…シュトゥルムじゃ!」

ショウイチ
「シュトゥルム…(ハッとして)…まさか20年前の!?」

ゲンザブロウ
「(うなずく)…そうじゃ…ワシの恐れていた事態になってしもうた…あの機体を持ち出すとは、ジャンクは本気じゃぞ!」

ショウイチ
「しかし、たとえシュトゥルムだとしても、このままジャンクの好きにさせて置けません!」

ゲンザブロウ
「奴は…シュトゥルムは唯のロボットではない…恐るべき破壊兵器じゃ!」

ショウイチ
「(興奮して)じゃぁ、お父さんは、このまま事態を静観しろっていうんですか!?」

ゲンザブロウ
「(一喝する様に)落ち着きなさいッ!!……(冷静な口調で)冷静に考えるんじゃ、ジャンクがシュトゥルムを出してきた意味を…シュトゥルムはジャンクの…いやウォルフシュタインの傑作じゃ。充分な作戦もなしに迂濶に手を出すのは自殺行為じゃぞ!」

ショウイチ
「しかし…」

ゲンザブロウ
「…まず作戦を練る事じゃ。奴を相手にするのは、並み大抵の事ではない。冷静な判断力なくして奴を倒す事は不可能じゃ。」

そのゲンザブロウの言葉を神妙な表情で聞いているショウイチ。しばし考える。

ショウイチ
「…お父さん…………済みませんでした…取り乱してしまって…」

ショウイチの肩に手を置くゲンザブロウ。

ゲンザブロウ
「…(元気に)さて、まずは情報を集める事じゃ。お前は過去の記録からシュトゥルムの性能を分析しておくれ。ワシは作戦を考えてみる。」

ショウイチ
「分かりました。」

工場の中へ入って行く二人。

再開発地区。
ロボット・チームとシュトゥルムの戦闘が続く再開発地区。

至近距離の爆発でダメージを受けたトゥースを庇う様に、ワンディムとサーディーがトゥースの前方を固める。必死の攻撃を続けるワンディムとサーディー。

サーディー
「大丈夫ですか、トゥース?しっかりして下さい!」

苦しげに機体を動かし立ち上がろうとするトゥース。
しかし、バランサーが正常に作動せず、ひっくり返ってしまう。

トゥース
「く、くそぉ…(サーディーを見て照れた様に)…あ、いや…なぁに大した事はない。…私に構わず攻撃を続けるんだ!」

サーディー
「トゥース…了解!」

シュトゥルム操縦席。
モニターのロボット・チームを見つめるジャンク。

ジャンク
「さて、そろそろゲームオーバーだぞ…」

ビームの発射ボタンにゆっくりと手を伸ばすジャンク。

モニターには、トゥースを庇いながら必死に攻撃を続ける、ワンディムとサーディーの姿が映っている…

発射ボタンに手がかかる。

モニターのロボット・チーム。

正に発射ボタンを押そうとするジャンクの手。

と、その瞬間、操縦システムが一斉にアラームを上げる!
各部のモニターがシステム異常を警告し始める。

モニターに『All system is out of control.』の表示が点滅を繰り返す。

ジャンク
「(周囲を見回し)何だ!どうしたのだシュトゥルム!!」

発射ボタンを押すジャンク。しかし、ボタンは全く反応しない!

ジャンク
「管制システムが全く反応しない…これは…これは一体!?…」

必死に計器の調整をするジャンク。しかし、機能を回復させる事が出来ない。

再開発地区。
突如シュトゥルムの動きが止まる。

イマイズミ
「(指さす)警部、ロボットの動きがッ!」

オオツカ
「何が起こったんだ、一体!?」


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.11.20 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018