SUB:御町内特撮救助隊SFXボイジャー(162L)
RE:035
再開発地区。
突如動作を停止したドクター・ジャンクのスーパーロボット、シュトゥルム。
その様子に驚きながらも、攻撃を続けるロボット・チーム。

パトカー前。
ロボットの様子を見たオオツカ、すかさず指示を出す。

オオツカ
「ワンディム、奴のビーム発射口を撃て!今のうちに奴のビームを封じるんだ!」

ワンディム
「分かりました!…(サーディーを見て)サーディー、奴のビーム発射システムを狙うぞ!ホーミング・トルペード装填!」

サーディー
「了解!」

ワンディムのスコープ映像。
荒い走査線の入ったビデオカメラの映像。

画面の映像がズームになり、シュトゥルム機体胸部のビーム発射システムがアップになる。
ターゲットスコープが表示され、位置を認識して点滅する。

背中の対戦車バズーカをシュトゥルムに向って構えるワンディムとサーディー。

ワンディム
「トレース・ロック!」

ワンディムのモニター映像。
モニターのターゲットスコープ、短い電子音と共に、表示が赤から緑に変わる。

モニターの隅に
『Alignment mode: Auto tracing/Target memory: Completed』
のディスプレイが点滅する。

ワンディム
「…発射ッ!!」

轟音を轟かせ、ワンディムとサーディーの対戦車バズーカから発射されるホーミング・トルペード!

急角度の弧を描きながら、相継いでシュトゥルムの胸部に炸裂!
ビーム発射システムが轟音と共に吹き飛ぶ!!

胸部から煙を噴き上げるシュトゥルム!

パトカー前。
ロボット達の攻撃に意気上がるイマイズミ達。

イマイズミ
「(腕を振り上げ)凄い、やったぞッ!!」

その横でうなずくオオツカ。

オオツカ
「…油断するな…各機対撃防御体勢、攻撃を続行!」

ワンディム/サーディー
「了解!」

シュトゥルム操縦席。
轟音が響き、激しい振動に襲われる操縦席。

各部のモニターには相変わらず警告表示が点滅を続け、操縦席内部にはアラーム
音が響いている。

その中で必死に操縦システムの調整を続けているドクター・ジャンク。
その額には脂汗が浮かんでいる…

ジャンク(心の声)
「…シュトゥルム、一体どうしたと言うのだ。お前は完璧なロボットの筈。この私が能力の総てを傾けて創り上げた、究極のロボットなのだぞ!」

必死にシステムの回復を図ろうと、コンソールパネルの操作を続けるジャンク。
しかしディスプレイの警告は消えない。

と、新たな警告が表示される。

『Warning: Outer armored wall's intensity is running down.』

ジャンク
「(モニターを見て)…い、いかん、外殻装甲が!」

タナカ鉄工所。
居間のテレビの前に、ユキコ、リエ、ケンタ。
テレビから流れるシュトゥルムとロボット・チームの映像を、真剣な表情で見つめている。

不満気なケンタとリエ。

ケンタ
「(ジリジリしながら)母ちゃん、何でだよ!何で出動しちゃいけないんダ!?」

リエ
「そうよ、どうしたの一体!?…(不満気に)おかしいわよ!だって私達、こういう時の為にいるんじゃない!!」

ユキコ
「(とりなす様に)…リエ。」

リエ
「(怒って)いいわ!…(ケンタを見て)行こッ!」

ケンタ
「ウン!!」

ユキコ
「あ、リエ待ちなさいッ!ケンタ!」

出動しようとするリエとケンタ。と、工場からゲンザブロウが出てくる。

ゲンザブロウ
「…待ちなさいッ!!」

何時になく激しいゲンザブロウの気迫にたじろぐリエ。

リエ
「お爺ちゃん…」

ゲンザブロウ
「(冷静に)…闇雲に走るだけが、常に正しいと言うものでもあるまい…今は時を待つのじゃ。」

リエ
「(うつむく)………」

と、ユキコの声。

ユキコ
「お父さん、ロボットの様子が!」

ゲンザブロウ
「何じゃと!?」

テレビを見るゲンザブロウ達。画面には突如動作を停止したシュトゥルムの姿。

ゲンザブロウ
「(驚き)これは………同じじゃ…あの時と……」

ユキコ
「え?」

ゲンザブロウ
「(つぶやく様に)…20年前も…奴は突然操作不能になった…」

テレビ画面を見つめるゲンザブロウ…

再開発地区。
立ち尽くすシュトゥルム。そのシュトゥルムにワンディム達の激しい攻撃は続く。
既にシュトゥルムの機体の各部から煙が上がり始めている…

倒れたトゥース、ワンディム達の攻撃を見つめる。

トゥース
「(感動した口調で)…凄いです、ワンディム。それにサーディーも…勝てる!これなら、きっと…」

シュトゥルム操縦席。
突然の原因不明の変調に、さすがのドクター・ジャンクも成す術がない…

ジャンク
「シュトゥルム、何故だ!何故動かんッ!!」

再び操縦席を襲う激しい振動!

ジャンク
「(悔し気に)クッ!このままでは、如何にシュトゥルムの機体といえど…仕方がないッ!」

操縦席上部の大きな把っ手を見る。手を伸ばし、把っ手に手をかけるジャンク。

ジャンク
「シュトゥルム…お前の管制システムを切るぞッ!!」

思い切り把っ手を引くジャンク。
あちこちでエアーシリンダーの排気音が響き、各部のサーキット・コネクターが
カットされる。モニターや操縦システムの殆どの電源が切れる。

ジャンク
「緊急離脱!」

操縦席脇の大きな機械式レバーを押し込むジャンク。

再開発地区。
動かないシュトゥルム、突然背中の飛行用エンジンから炎を噴き上げ、上昇を開始する。周囲に凄まじい旋風が巻き起こる!

ワンディム
「ロボットがッ!」

アームガンを上空に構え、更に攻撃を加えようとするワンディム。
オオツカがワンディムの側に寄る。

オオツカ
「待てッワンディム!我々もこれ以上の戦闘は無理だ。ここは一旦体勢を立て直すんだ!」

ワンディム
「(悔し気に)…分かりました…」

ゆっくりと上昇を続けるシュトゥルム。それを見送るロボット・チーム。
あちこちから立ち上る煙が、ワンディム達の周囲に不安な陰影を作っている…


〜 つづく 〜

~ 初出:1994.11.27 Nifty Serve 特撮フォーラム ~

Copyright: ohshima 1994, 2018